両チームともにプレシーズンで試行錯誤している部分が多く、特にロメル・ルカクとポール・ポグバの去就問題に揺れているマンチェスター・ユナイテッドの基本布陣が未だに不確定のため(編注:現地時間8日、ルカクのインテル移籍が決定)、この試合の展開予想が難しかったのですが、膠着したゲームになるのではないでしょうか。ユナイテッドとしては監督が変わったばかりのチェルシーの出方をまずは窺いたいでしょうし、ランパード率いるチェルシーの基本戦術は今のところ堅守速攻です。特に試合序盤は互いに自陣のスペースを消し合い、攻撃の際にもあまりリスクを負わず、なるべく少ない人数でシュートシーンに持ち込むという展開になるのではと私は予想しています。
両チームの選手のなかで誰が膠着状態を打破できそうかを私なりに考えましたが、チェルシーにはペドロ・ロドリゲスやウィリアン、そしてクリスティアン・プリシッチなど、密集地帯でも細かなステップで相手をかわしながらシュートやパスを放てたり、ドリブルで複数のマーカーを剥がせるウインガーが揃っています。3人とも味方からのパスコースを呼び込むフリーランニングにも長けていますが、彼らが攻撃面でどれほど違いを生み出せるか。両サイドの攻防の行方がこの試合の流れに大きく影響しそうですし、ユナイテッド陣営としては左サイドバックのルーク・ショー、そして今夏に加入した右サイドバックのアーロン・ワン・ビサカの踏ん張りに期待したいところでしょう。
両チームともに不確定要素が多いなかで見どころを挙げてみましたが、監督が変わったばかりのチェルシーのサッカーが昨シーズンと比べどのように変化し、ランパード監督のサッカーがユナイテッド相手にどこまで通用するかという視点で観戦すると、よりこの試合をお楽しみ頂けると思います。来たるプレミアリーグの開幕戦を、どうか心行くまでご堪能下さい。
ではでは、また次回お会いしましょう!
※プレミアリーグ第1節、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーの一戦は日本時間8月12日(月)の午前0時30分にキックオフ!
水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。
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