コロンビア相手に「自分たちのサッカー」を貫くのは正解なのか? 思い出される1年前のハリルジャパン

西野ジャパンはコロンビアにどう戦う? photo/Getty Images

パラグアイ戦の結果で楽観的になりすぎるのは危険

ガーナ代表、スイス代表に0-2で敗れた時の暗いムードはどこへやら。12日にパラグアイ代表を撃破した西野ジャパンにはポジティブな意見も増え始めている。初陣となった5月のガーナ戦から見れば、スイス戦、パラグアイ戦をこなしていく中でチームの形が出来始めているのは間違いない。ワールドカップ本番へのテストマッチを有意義に使うことができたと言える。しかし、パラグアイ戦の勝利でコロンビア戦への不安が消えたわけではない。むしろパラグアイ戦の結果でコロンビア戦への手応えを感じていることには違和感がある。

ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が指揮を執っていた時とは異なり、西野ジャパンは日本人らしいパスワークを武器としたチームに変化している。10番を背負う香川真司の存在感も再び強まっており、パラグアイ戦で結果を出した香川と乾貴士の元セレッソ大阪コンビはワールドカップ初戦のコロンビア代表戦でも先発させるべきとの意見が目立つ。パラグアイ戦では得点力不足に陥っていた西野ジャパンにこの2人が得点をもたらしたのだから、期待が高まるのは当然だ。
しかし、パラグアイとの戦いを仮想コロンビアとするのは難しい。

パラグアイ戦で日本はボールを支配できていたが、コロンビア相手にそれを実行するのはかなり難しい。しかもパラグアイは後半からペースが落ち、日本としてはやりたい放題できる状況だった。また守備の強度もコロンビアに比べて甘い。例えば西野ジャパン初得点となった51分の乾のゴールは、[4-1-4-1]で守備をセットする相手を崩すお手本のようなパターンだった。プレスを受けていないセンターバックの昌子源がボールを運び、アンカーの脇に顔を出した
香川に縦パス。香川の動きで相手のセンターバックを1枚釣り出し、左サイドから中に入ってきた乾とスイッチするような形で抜け出す。まさにお手本通りの攻撃で、これをコロンビアが許すはずはない。パラグアイ守備陣から4得点奪えたとはいえ、同じことをコロンビア戦で期待するのは難しいのだ。

そこで思い出されるのが、昨年8月のワールドカップ出場を決めたアジア最終予選・オーストラリア代表戦だ。2‐0で勝利したこのゲームはハリルジャパン最高のゲームと言われているが、現在の西野ジャパンとは大きく戦い方が異なる。パラグアイ戦で日本が使った[4-2-3-1]ではなく、ハリルホジッチ前監督は[4-3-3]を選択。中盤ではアンカーにリーダーシップを発揮できる主将・長谷部誠が入り、インサイドハーフには豊富な運動量を武器とする山口蛍と井手口陽介が入った。大一番で香川、本田圭佑の両名をベンチとしたハリルホジッチ前監督の采配は当たり、ボールを繋ごうとするオーストラリア側の思惑を完全に封じて2‐0の勝利を手にした。

この試合が終わった直後はハリルホジッチ前監督の采配が非常に高く評価され、ワールドカップでも同様の布陣で戦うのではないかと予想する声も多かった。つまり香川、本田がスタメンに入らないということだ。しかし西野ジャパンになってからは状況が大きく変わり、初戦のコロンビア戦では香川か本田のどちらかが高い確率でスタメンに入ってくるだろう。守備をベースに相手の欠点を突こうとするハリルホジッチ前監督のサッカーに対し、西野ジャパンのサッカーはあくまで自分たちの良さを活かそうとするものだ。

どちらが正しいとは言い切れないが、ガーナ戦、スイス戦、パラグアイ戦を見る限りではハリルホジッチ前監督のアプローチが正しいように思える。この3試合全てで日本は2失点しており、コロンビアに先制点を与えてしまえば反撃はかなり難しくなる。どこまで0‐0の状況を続けられるかが勝ち点獲得のポイントで、コロンビア戦を前に香川&乾のユニットなど攻撃面のことばかり話題に挙がっているのは気にかかる。パラグアイ戦の4得点より、2失点してしまったことの方にフォーカスすべきだ。

守備のことを第一に考えるならパラグアイ戦で使用した[4-2-3-1]のシステムに固執する必要はなく、中盤のバランスを考えてアンカーを配置してもいい。90分全体ではコロンビアが主導権を握る時間の方が確実に長くなるはずで、日本は徹底して守備を固めるところからゲームをスタートさせるべきだろう。重要な初戦ともなれば尚更だ。香川と乾のコンビネーションは大きな可能性を感じさせるものだったが、それは2人が高い位置でボールを受けられる状況に
あって初めて言えることだ。コロンビア相手に守備の時間が長くなり、自陣に押し込まれてしまえば香川を活かすのは難しくなってくる。最悪の場合はなかなかボールに触れずゲームから消えてしまう可能性も考えられる。

コロンビアは初戦、しかも相手が日本となれば確実に勝ち点3が欲しいだろう。先制点を奪えば巧みに守備を固めながらゲームをコントロールしてくるはずだ。そうなれば日本が崩すのは難しく、4年前のようにカウンターアタックを受け続ける悪夢が繰り返される恐れがある。前半を0‐0で終わらせ、相手が得点を求めて焦り始めた時がチャンスとなる。その展開を待つ忍耐強さが求められ、コロンビア戦は初戦ということを考えても守備ベースの戦いを選択する方が賢明だ。

ワールドカップ出場を決めて以降のハリルジャパンは結果の出ない試合ばかりだったが、相手の強みを消して弱点を突く分析サッカーに定評のあるハリルホジッチ前監督の采配の方がコロンビアを相手にするには向いている。パラグアイ戦はあくまで「自分たちのサッカー」を貫いて結果を出したが、これを貫きすぎると手痛い反撃を受けることになるかもしれない。
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