「バルサの弱点を見つけることに集中した」 モウリーニョの元右腕が語るインテルが成し遂げた“伝説のトレブル”の舞台裏

モウリーニョ監督を支えたルイ・ファリア氏 Photo/Getty Images

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執念の準決勝突破

2009-10シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝は、今なお語り継がれる名勝負の一つである。ジョゼ・モウリーニョ率いるインテルが、絶頂期のバルセロナを打ち破った一戦。その舞台裏について、当時の右腕であるルイ・ファリア氏が『MARCA』で詳細に振り返っている。

ペップ・グアルディオラ体制のバルサは当時、スペインと欧州を席巻し、連覇候補の最有力と見なされていた。グループステージでは引き分けと敗戦に終わったインテルだが、準決勝では3-1という衝撃のスコアで先勝。カンプ・ノウでの第2戦を1-0で落としたものの、合計スコアで上回り、決勝進出を果たした。

ファリア氏は「バルサを分析するため、インテルのトレーニングセンターに閉じこもり、そこで寝泊まりした」と語り、「過去のすべての試合を何十本も観て、どうすればあのチームを止められるかを探った。目標は、非常に質の高いチームの中にある弱点を見つけることだった」と明かす。選手たちへの最初のミーティングでは、バルサの強みではなく“弱点”のみを示したという。「バルセロナは手強い相手だが、勝てるというメッセージを伝えた。わずかでも隙があると伝えた。自信を持たせるため、彼らの頭の中に勝利のイメージを描かせたんだ」と回想した。
特に第2戦ではチアゴ・モッタの退場により長時間を10人で戦うこととなり「このような困難な状況を克服できるのは、勝利への強い意欲を持ち、組織力があり、精神的に強いチームだけである」と強調。「守備的に戦ったと言われるが、我々は可能な限りのことをしただけだ」と胸を張る。

ファリア氏はまた、その準決勝がいかに“特別”な意味を持っていたかを語った。「夢と野心に満ちていたインテルにとって、バルセロナに勝った瞬間こそが決勝のようだった。バイエルンとのファイナルも重要だったが、本当の勝利はあの準決勝だった」と振り返る。試合後の祝福の様子については「用具係から理学療法士、バスの運転手、家族まで、すべての人々から感じたあの感情は、私のキャリアの中で最も美しいものの一つだった」と語る。

15年の時を経て再び対峙する両クラブだが「今はそこまで大きな差はない。あの頃のバルサは別次元だった」と語るファリア氏。だが、“強者の隙”を見抜いたその分析と情熱は、今なお色あせることのない勝利の要因であった。

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