水沼貴史です。欧州サッカーの2022-23シーズンが終わりに近づいていることもあり、最近は移籍の話題も賑やかになってきています。ブライトンの三笘、セルティックの古橋や旗手など……。今季は欧州の各国リーグで、多くの日本人選手が素晴らしい活躍をしています。そのため、今までも選手個人が評価されることはありましたが、今は欧州で「日本人」が評価されるようになってきている。「日本人」の価値が上がってきている。これはとても素晴らしいことだと思いますし、日本人選手が今夏の移籍市場を盛り上げるかもしれませんね。
そんな中、先日、鎌田大地がフランクフルトを今季限りで退団すると発表されました。彼も今夏のステップアップが期待されていた日本人選手のひとりです。そこで、今回はそんな鎌田について少々お話をしたいと思います。
現在26歳の鎌田は、2017年夏にサガン鳥栖からフランクフルトへ移籍。シント・トロイデンへのレンタル期間中(2018-19シーズン)も含めると、6年間にわたってフランクフルトに所属してきました。鳥栖時代から注目していた私から見ると、当時からポテンシャルはある選手だなと感じていましたが、やはり波があり、メンタル的な部分もまだまだだったかもしれません。いろいろな評価のされ方をしてきた選手だった思います。
しかし、彼は周りからではわからない「真の強さ」を実はうちに秘めていて、海外挑戦を経て「自分はさらに上の舞台を目指さなければならない」や「もっとやれるようにならなければならない」というような信念が感じられるようになった。さらに、プレイの強度もどんどん良くなってきていて、それは目に見えて変わってきていると思います。
シント・トロイデンへのレンタル移籍も、欧州で飛躍を遂げるための良いキッカケになったと思います。フランクフルト加入時はあまり出場機会を得ることができなかった鎌田ですが、シント・トロイデンではしっかり試合に絡むことができ、いろいろなことを実戦で学べた。もちろん、当時は冨安や遠藤がチームメイトにおり、環境に恵まれたことも大きかったかもしれません。ベルギーでは公式戦36試合に出場して16ゴール9アシストと、目に見える結果も残すことができましたからね。それが翌シーズン以降のフランクフルトでの活躍や飛躍につながっていると思います。
ここ最近は移籍関係のこともあり、スタメンを外れたりする状況ではありますが、ELを優勝した昨季あたりは、攻撃の部分だけではなく守備面でも存在感を放つなど、素晴らしいパフォーマンスを披露。トップ下だけでなく、ボランチもこなし、スケールがどんどん大きくなってきている印象です。自分のポテンシャルをより活かすために、より大きなクラブで結果を残す段階にきているのではないでしょうか。ELのタイトルを獲得し、今季はCLの舞台でもプレイしました。自信もつけてきているでしょうし、選手としてより高みを目指す、自分自身の夢に近づくタイミングなのかもしれませんね。彼はおそらく、逆算ができる頭の良い選手なので、今後のことはしっかり考えているでしょう。