水沼貴史です。世界一を決める4年に一度の祭典、FIFAワールドカップがついに開幕しますね。今大会の開催地はカタール。しかも史上初の冬開催です。これまでは欧州主要リーグのシーズン終了後に開かれていましたが、今大会はシーズン中での開催となります。私は当初、1年間の疲労が蓄積して迎える夏開催よりも、選手たちのコンディションが良い状態で本大会を迎えられるのではないかと考えていましたが、実際は全く逆でした。W杯がシーズン中に組み込まれることで、これまで以上にシーズンの序盤戦が過密日程となり、負傷者に苦しめられている国も多々あります。さらに、ギリギリまでリーグ戦が行われていたため、代表に合流してからの調整期間もほとんどありません。非常に難しい大会となるのではないかなと思っています。また、次回の2026年大会からは出場国が「48カ国」となるため、今大会が「32カ国」開催の見納めにもなりますね。
ただ、今大会は未知の大会ではありますが、レベルが高く、魅力あふれるプレイも数々見られるはずです。そして、普段欧州サッカーを、そもそもサッカー自体をあまり見ていなくても、「W杯なら見る!」という方も多いと思います。そこで、今回はカタールW杯で私が注目している5名の選手たちを紹介したいと思います。
①MFジャマル・ムシアラ(ドイツ代表/バイエルン・ミュンヘン)
ドイツの名門バイエルンの下部組織出身で、2020年に17歳ながらトップチームデビューを果たしたムシアラ。現在19歳ながら早くもバイエルンでの公式戦出場数が「100」に到達しています。今季はここまで9ゴール7アシストを記録しており、チームのトップスコアラーにもなっているのです。
そんなムシアラは中盤の前と後ろ、そしてウイングもできる。ドリブル、スピード、テクニック、アイデア、運動量、素早いトランジションなど、とにかく万能な選手です。身体で表現するプレイと頭の中で描くプレイがリンクしているように感じますし、線が細く見えるあの体型からは想像できないようなプレイを披露してくれます。感覚的なプレイも鋭く、相手選手にとっては捕まえづらい選手ですので、グループリーグの初戦ではドイツ代表と相見える日本代表にとっても非常に危険な選手と言えるでしょう。その一方で、彼がどんなプレイを披露してくれるのか、非常に楽しみでもあります。W杯では、ぜひ彼のいろいろなテクニックに酔いしれてほしいです。
②MFジュード・ベリンガム(イングランド代表/ドルトムント)
ムシアラと同様に、ベリンガムもドイツで光を放つ19歳の逸材です。2020年に母国イングランドからドイツへ渡り、ドルトムントへ加入。ドイツの名門でもすぐさま定位置を確保すると、今季もここまでリーグ戦の全15試合にフル出場しており、3ゴール2アシストを記録しています。また、今年に入ってからはイングランド代表でもレギュラーにも定着しており、カタールW杯でさらなるブレイクが期待される選手なのです。
そんなベリンガムのプレイスタイルに関して言えば、ムシアラとは異なり、気持ちが前面に出ていく選手。闘志が溢れ出ており、前に向かうパワーなど推進力はムシアラよりベリンガムの方が上だと思います。19歳とは思えないようなメンタリティには、私も驚きを隠せません。「こんな19歳いるんだ!」と思いましたし、「年齢なんて関係ない」と感じさせてくれる象徴的なプレイヤーだと思います。イングランド代表はディフェンスに関してやや不安があるので、その前でしっかり止める、しっかり前線へボール運ぶことができなければ苦しくなると思います。彼がいかにしてタクトを振るうのかが重要になるのではないでしょうか。イングランド代表は若手の台頭も著しいので、彼を筆頭に頑張ってもらいたいです。