怪我人の不安、“偽9番”から“純粋な9番”への移行…… プレミアBIG2時代は今季も継続するのか

未だ白星がないリヴァプール photo/Getty images

不安要素は多い

直近5シーズンのプレミアリーグで4度の優勝を誇るマンチェスター・シティ。そのシティに振り落とされず頂点を目指し、好成績を残すリヴァプール。近年のプレミアはこの2チームの実力が突き抜けており、BIG6ではなくBIG2の別格として評価されている。

しかし22-23シーズンのスタートは対照的な結果となった。シティが2連勝、リヴァプールは2分と勝てておらず、2チームの順位は大きく離れている。

リヴァプールが躓いてしまっている理由はいくつかあるがその一つに怪我人の多さがある。ディオゴ・ジョタ、チアゴ・アルカンタラ、イブラヒマ・コナテ、ジョエル・マティプ、カーティス・ジョーンズ、ロベルト・フィルミーノらがクリスタル・パレス戦を欠場しており、スカッドが非常に薄い。しかもそのパレス戦で新加入ストライカー、ダルウィン・ヌニェスがレッドカードで退場しており、3試合に出場できない。ジョタ、フィルミーノ、ヌニェスが次節マンチェスター・ユナイテッド戦で起用できない可能性があり、ユルゲン・クロップ監督はどう解決策を見出すか。
もう一つはヌニェスのリヴァプールへの適応スピードだ。シティとのコミュニティシールド、フラムとの開幕戦ではゴールを決めているが、連携面はまだまだ足りない。タイプは違うが昨季サディオ・マネが見せたようなポストプレイが少なく、チーム全体で攻撃の選択肢が減ってしまっている。ジョタやフィルミーノがそれをカバーできたかもしれないが現状は起用できない状態にあり、タイミングが悪かったか。

これはリヴァプールだけの問題ではなくシティにも共通することだ。

シティでの怪我人は現状アイメリック・ラポルトのみだが、例年のジョン・ストーンズ、ネイサン・アケの稼働率を見れば必ずどこかで負傷する。昨季はそれをフェルナンジーニョで補っていたが、今季はカルヴィン・フィリップスがどこまでその穴を埋められるか。

怪我人以前にシティはシンプルにスカッドが薄い。相変わらずサイドバックはカイル・ウォーカー、ジョアン・カンセロ、新加入セルヒオ・ゴメスの3人のみだ。しかもゴメスはプレミア未経験であり、オレクサンドル・ジンチェンコの役割を果たせるのか現時点では疑問符がつく。

11月に開催されるワールドカップ・カタール大会でどれだけ主力が疲弊するのか計算できない点も今季のシティの成績を怪しくさせている。前述したようにSBはカンセロとウォーカーに頼りきりであり、両者が欠けることになればほぼOUTだ。

リヴァプールもシティと同じように偽9番から純粋な9番をチームに加えた。幸いアーリング・ハーランドの適応は上々といえるが、タイトルを争うライバルとのゲームでどこまでウェストハム戦やボーンマス戦でのポストプレイを披露できるかまだ分からない。9月11日、昨季勝てなかったトッテナムのリーグ戦が組まれており、ここでのパフォーマンスが今季の指標となる。

シティとリヴァプールの地位が危ぶまれているのはアーセナル、トッテナム、チェルシーの存在も関係しているだろう。どのチームも積極的に補強しており、アーセナルは開幕から2連勝と早速その成果が出た。彼らがCLやELと並行してどこまで失速せず戦えるかは分からないが、昨季のようなシティとリヴァプールが突き抜けるようなリーグテーブルにはならないかもしれない。

2強とされていた近年のプレミア。しかし今季はそのトップ2に不安要素が多く、再び多くのチームに優勝の可能性がある戦国時代となるのではないだろうか。

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