レアル・マドリードで共闘する展開になると思いきや、パリ・サンジェルマンFWキリアン・ムバッペはこのままパリに留まることになった。これにより、おそらくは新シーズンのレアルも左サイドは伸び盛りのFWヴィニシウス・ジュニオールが支配することになるだろう。
6日に行われた日本代表との親善試合でもブラジル代表のヴィニシウスは違いを見せてくれたが、この1年での成長スピードは脅威的だ。1年前はまだセレソン入りは早いかと思われたが、今季レアルで一気にブレイク。ゴールを量産してチャンピオンズリーグ制覇にも貢献し、セレソンではネイマールとも競えるレベルに達したと言っていい。
まだレアルではカリム・ベンゼマが健在だが、このままいけばヴィニシウスがレアル攻撃陣のリーダーになっていく可能性が高い。今夏にムバッペが加入しなかったことも、ヴィニシウスにとっては追い風となるだろう。
興味深いのはスペイン『as』のトマス・ロンセロ記者の見方だ。ロンセロ氏はヴィニシウスがそう遠くないうちにムバッペを超えるはずと見る。
「私にとっては、ヴィニシウスはムバッペの上だ。彼はとても良い選手だが、パリに留まることで彼の停滞は避けられない。ムバッペはリーグ・アンのタイトルを手にしだけであり、ヴィニシウスはまもなくキングになる」
ムバッペの才能はすでに証明済みだが、リーガ・エスパニョーラとリーグ・アンではレベルが少々異なる。パリにはチャンピオンズリーグ制覇という野望があるが、ムバッペはすでに国内ではすべてのタイトルを手にしたと言っていい。チャンピオンズリーグは別だが、国内の戦いがムバッペにとってプラスになるかは微妙なところだろう。パリのライバルとなるクラブが国内に見当たらないのも気にかかる。
対してヴィニシウスとレアルはリーガ連覇へ向けて国内で熱い戦いを繰り広げるだろう。新シーズンはライバルのバルセロナもさらに力をつけてくると予想されており、クラシコは今季以上に熱いものとなるに違いない。そこでヴィニシウスが受ける刺激は特別なものとなるはずだ。
果たしてヴィニシウスはこのまま世界最高の選手へと近づいていけるのか。ムバッペが加入しなかったのはヴィニシウスにとってチャンスでもあり、リーダーとして攻撃を引っ張っていく責任感がさらなる成長に繋がるはずだ。