元同僚が思い出すスパーズ時代
一体、この男はいつまで最高級のパフォーマンスを披露し続けるのだろうか。2018年に33歳でバロンドールを受賞したテクニシャンは、あれから約3年の月日が経過した今もなおレアル・マドリードの中盤を支配している。
そのテクニシャンとは、もちろんクロアチア代表MFルカ・モドリッチ(36)のことだ。36歳となればいくらかパフォーマンスに翳りが見えてきそうなものだが、彼は現在も“全盛期”と言って差し支えないレベルを維持している。攻撃時には積極的にパスワークに関わり、守備時にも豊富な運動量を武器にピッチの広い範囲をカバーする。エレガントかつエネルギッシュなプレイスタイルは今も健在だ。
そんなモドリッチのスタイルを支えているのは、圧倒的な視野の広さだろう。現地時間12日に行われたチャンピオンズリーグ準々決勝2ndレグのチェルシー戦で見せた超絶アシストのように、彼はどんな位置からでも常にゴール前へと走り込む味方の姿を捕捉している。この場面ではアウトサイドキックでの正確無比なパスも見逃せなかったが、振り向きざまにFWロドリゴ・ゴエスの位置を把握していた部分も超人的だったのは間違いない。その視野の広さがあるからこそ、彼は次につながるプレイをスムーズに行うことができると言っても過言ではないはずだ。
そして、そのモドリッチの視野の広さに関しては、かつてトッテナムで彼と同じ時間を過ごした元イングランド代表FWダレン・ベント氏も高く評価している。スパーズに在籍していた頃からモドリッチの空間認知能力は他を圧倒するレベルに到達していたと、同氏は次のように語る。
「今や彼は僕らの世代に限らず、世界で最高の中盤のひとりになったね。スパーズで一緒にプレイしていた頃、その技術の高さから長くここにはいないだろうと思ったことを思い出すよ。トレーニングで最初にルカを見たとき、『アイツは誰だ?』ってなったのを覚えている。だから、その後少し苦戦を強いられたのは意外だったかな。僕たちとプレイしている彼はまるで“6つの目”を持っているようだったよ」(英『talkSPORT』より)
まるで“6つの目”を持っているかのように、当時からピッチ上で起こっていることを全て把握していたというモドリッチ。やはり、モドリッチがこの年齢まで第一線で活躍することができているのは、単なるボールテクニック以外にも強みを持っているからなのだろう。クロアチアのレジェンドMFが備える唯一無二の武器。その視野の広さを生かしたプレイは今後も必見だ。