ナンバー10を背負う南野拓実の序列が揺らいだ? 三笘台頭で書き換わりつつある3トップの勢力図

今までは左サイドで不動な南野拓実だが、徐々にその状況は変わりつつある photo/Getty images

ベトナム戦の存在感は三笘が上回った

日本代表ではエースナンバーである10番を背負っている南野拓実。プレミアリーグの名門リヴァプールでもプレイしており、その番号にふさわしい選手なのだが、今の代表ではその期待に応えられているのか。

攻撃での存在感でいえば、伊東純也が上回ることになる。所属しているリーグ自体は5大リーグ外のベルギーだが、代表ではドリブル突破から正確なシュートやクロスで攻撃を活性化させる。特に得点力は強力であり、アジア最終予選では4ゴールと得点を量産した。また、フルタイム走り切れるスタミナもあり、献身的な守備意識も兼ね備えている。

南野はここまでそんな伊東と対をなす存在として左ウイングに起用されていたが、三笘薫が台頭してきた。三笘は伊東同様にドリブルの切れ味が鋭く、単独で攻撃を完結させられる代表でも数少ない選手だ。得点力も魅力的であり、オーストラリア戦では終盤のわずかな時間で2ゴールを奪い、日本代表はワールドカップ・カタール大会行きを決めた。攻撃だけが南野のタスクではないが、得点数を比べるのであればここまでのアジア最終予選では1ゴールしか奪えていない。

ベトナム戦ではその三笘が左ウイングに入り、後半からは右サイドに伊東が入っている。南野は後半から投入され、トップ下での起用となった。久保建英はそのポジションで輝いており、招集外であれば鎌田大地はその位置がベストポジションだ。現状では南野の序列が最も高いが、今後を見据えるとそうともいえなくなっている。

ウイングでは南野と三笘とでは大きく質が異なる。基本的に南野は左ウイングに起用されると、中央にポジションを移す傾向にあり、セカンドストライカーのように振舞う。そのためか敵陣深くをえぐる攻撃は伊東のいる右サイドに偏り、左サイドからの攻撃はほぼなくなってしまうのだ。アジア最終予選ではそれでゴールを奪うことができていたが、カタール大会で伊東が封じられれば苦しくなる。だが、ベトナム戦の後半では左に三笘、右に伊東となり、両サイドから効果的な攻撃が繰り出されていた。

もちろん、南野が先発で三笘が終盤での起用というオーストラリア戦での使い方もある。だが、今の三笘はその少ない時間で使うのは非常に勿体ないとベトナム戦で証明してくれた。今の両者の立ち位置が森保一監督の中でどれだけ差があるのかわからないが、南野の立場は以前より危うくなっていると言える。

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