水沼貴史です。2021-22シーズンも早いもので、開幕から3カ月以上が経ちました。冨安はアーセナルへ移籍してからインパクトを残し続けていますが、南野や三笘、堂安など、調子を上げて活躍する日本人選手たちが増えてきましたね。鎌田あたりもだいぶ調子が上がってきているように見えますし、最初にうまくいかなくても我慢することで、それぞれの良さが出せたり、出てきたり、これまでの経験がしっかり生きてきているように思います。日本人選手の活躍が楽しみな年末年始になるのではないでしょうか。
そんな中でも、今季、欧州で特に著しい成長を見せている選手がいます。今夏の移籍市場でジュビロ磐田からブンデスリーガのシュツットガルトへ、期限付き移籍で加入することになったDF伊藤洋輝です。今回はドイツで評価が急上昇中の伊藤について少々お話をしたいと思います。
当初はシュツットガルトのセカンドチームでのプレイが見込まれていたため、おそらくですが、移籍してすぐにトップチームでこのような状況になるとは、考えてもいなかったかもしれません。トレーニングを見て、監督が伊藤のポテンシャルやクオリティに可能性を感じたのでしょう。さらに、DFヴァルデマール・アントン、DFマルク・オリヴァー・ケンプフ、DFコンスタンティノス・マヴロパノスの3人が鉄板だった3バックに怪我人が出たことで、そこに伊藤がうまくはまっていった形です。今では彼らと遜色なくプレイし、リーグ戦では6試合連続出場中。3バックのセンターでプレイすることもありましたが、良い左足を持っているので、今定着しつつある3バックの左でプレイするのがベストでしょう。
スタメンで出た試合でなかなか勝つことができておらず、チーム自体も下位に沈んでいるため、本人もまだあまり納得はできていないかもしれません。ただ、伊藤のプレイ自体は悪くないと思います。特に左サイドには、クロアチア代表でもプレイし、高い位置でのチャンスメイクが得意なMFボルナ・ソサがいます。彼が上がったあとのケアをしたり、空いたスペースを埋めたり、うまくプレイできていると思います。また、ボランチでプレイするMFアタカン・カラゾルはボールを捌くタイプで、どちらかというと守備の強度が高い選手ではないため、空いているバイタルエリアのスペースを潰すために積極的に前へ出ていくようなことにも、しっかりチャレンジできているように見えます。細かなポジショニングが取れていますし、スペースの管理がうまい印象がありますね。