サッカー界に新庄剛志のような人材はいないのか 本田圭佑が抜けて落ちたエンターテインメント性

あらゆる角度から日本サッカー界を盛り上げてくれた本田 photo/Getty Images

強いだけでは盛り上がりに欠ける

大谷翔平の二刀流大成功、ミスタードラゴンズ立浪和義の中日ドラゴンズ監督就任、さらには野球界屈指のエンターテイナーである新庄剛志の日本ハムファイターズ監督就任と、ここ最近は野球界が大いに盛り上がっている。

これらの話題から感じさせられるのは、スポーツには実力とともにエンターテイメント性が強く求められるということだ。

まだ新庄が監督業で成功を収められるかは分からないが、ひとまず話題にはなる。2022年の野球界は特別な注目を集めることになるだろう。
一方で日本のサッカー界はどうか。選手たちの実力は間違いなく上がっているが、エンターテインメント性は大きく不足してしまっているのではないか。

近年の日本サッカー界が最も盛り上がったのは、2010年からの4年間だろう。ワールドカップ・南アフリカ大会で本田圭佑が新時代のスターとなり、大会後には香川真司がドルトムントで大ブレイク。これで一気に代表人気に火がついた。

本田の独特な発言や奇抜なファッションはウケが良く、長友佑都はインテルへ、黄色い声援を浴び続けた内田篤人はシャルケへ。実力、エンターテインメント性の両方が急上昇した4年間だった。

一方で当時の野球界は大谷もまだ高校生で、2009年のWBC優勝後は人気がやや落ち着いていた時期と言っていい。試合の視聴率を稼げるのはサッカー日本代表の方だったはずだ。

本田&香川のコンビも魅力的だった photo/Getty Images

来年のW杯へ盛り上げられるか

また、アルベルト・ザッケローニ率いるザックジャパン当時は欧州の強豪たちと定期的にマッチメイクができていた。フランス、オランダ、ベルギーと腕試しの場があり、ブラジルとも対戦できた。

さらに2013年にはコンフェデレーションズ杯もあり、毎年何らかの盛り上がるイベントがあった印象だ。

しかし今や欧州ではネーションズリーグがスタートしてしまい、親善試合を組むハードルも上がってしまった。

新型コロナウイルスの影響もあるが、欧州の強豪と最後に対戦できたのはワールドカップ・ロシア大会ベスト16のベルギー戦が最後だ。これはあまりに寂しい。

当時のベルギー戦は内容的にもかなり盛り上がったが、あれは本田ら世代の最後の輝きでもあった。あれ以降は長谷部誠、岡崎慎司、本田らが代表を離れており、今の日本サッカー界には本田ほどのビッグマウスも、香川のような世界を驚かせるテクニシャンもいない。エンターテインメント性は大きく落ちたと言っていい。

今も海外で活躍する優秀な日本人選手は一定数存在しており、レベルは間違いなく上がっている。しかし、上手いだけでは注目してもらえない。同時に面白さが必要なのだ。本田や長谷部、香川はサッカーファン以外の日本国民にも認知されていたが、今の代表選手をほとんど知らない日本人も少なくないはず。

加えて現在行われているカタール大会へ向けたアジア最終予選はアウェイゲームの地上波放送がなく、DAZNに契約していない人たちにとっては縁のない予選となってしまっている。

日本人は良くも悪くも熱しやすく冷めやすい。ひとたびブームが去れば、一気に忘れ去られる危険もある。仮に日本代表がカタール大会への切符を失うようなことがあれば、サッカー界にとっては大惨事となりかねない。

立浪、新庄の監督就任で野球界が盛り上がっているところを見ると、やはりスポーツにエンターテインメント性は欠かせない。サッカー界で言うならば、本田が日本代表の監督に就任するくらいでなければ対抗できない話題性と言えよう。

その点から考えると本田の存在はサッカー界にとって大きく、今の代表にこそ本田のような奇抜な選手が欲しい。再び日本サッカー界に大ブームをもたらすのは誰なのか。ロシア大会以降のサッカー界はややブームが落ち着いてしまった印象だ。

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