モウリーニョ・ローマの“美しき遅攻”は必見 早くも見せつけた、変幻自在なビルドアップ

ローマのパスワークを司っているクリスタンテ photo/Getty Images

ローマのパスワークのキーマンは……  

今夏に名将ジョゼ・モウリーニョを新監督に迎えたASローマは、22日のセリエA第1節でフィオレンティーナに3-1で勝利。19日のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグのプレイオフ第1戦、26日の第2戦(トラブゾンスポル戦)でも白星を飾って公式戦3連勝と、幸先の良いスタートを切っている。

モウリーニョ監督が束ねるローマの基本布陣は、[4-2-3-1]。ジョルダン・ヴェレトゥと2ボランチを組んでいるブライアン・クリスタンテが、2センターバックの間やセンターバックとサイドバックの間へ降りるなど、序盤戦から変幻自在なビルドアップを披露。ジャンルカ・マンチーニとロジェール・イバニェスの2センターバックも、直近の2試合でサイドへ正確にパスを散らしているほか、鋭い縦パスで中盤のスペースを突き続けている。

22日のフィオレンティーナ戦でも、クリスタンテを起点とするビルドアップが機能していた。2分にフィオレンティーナのMFジャコモ・ボナヴェントゥーラとFWドゥシャン・ヴラホビッチが、ローマの2センターバックにチェイシング。この場面でクリスタンテが2センターバック間へ降りたことで、ローマは自陣ゴール前で3対2の数的優位を確保できた。
ボールはGKルイ・パトリシオからクリスタンテに渡り、同選手が右サイドへパスを供給。DFリック・カルスドルプからのリターンパスを受けたマンチーニが、相手最終ラインの背後へ惜しいロングパスを放っている。

26日のトラブゾンスポル戦では、32分にヴェレトゥが最終ラインに降り、ボールを右サイドへ展開。マンチーニからのパスを受けたカルスドルプがトップ下のロレンツォ・ペッレグリーニへボールを渡し、同選手が鋭いミドルシュートを放っている。相手のプレスのかけ方に応じ、当意即妙に陣形を変えることができるローマは、今後も相手チームの脅威となりそうだ。

敵陣まで危なげなくボールを運ぶための方策が、序盤3試合にして浸透しつつあるローマ。これまで率いてきた数多のクラブで、堅守速攻ベースの戦い方を植え付けてきたモウリーニョ監督が、自陣後方からの丁寧なパスワークを自軍の選手たちに叩き込んでいる点も、実に興味深い。遅攻のバリエーションを増やすことに着手したモウリーニョ監督のもとで、早速成長の跡を見せているローマの試合は必見だ。

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