新守護神メニャンが見せた“飛び道具” ミランに備わった新たな武器

今夏にリールからミランへ移籍したメニャン photo/Getty Images

両足で遜色なく蹴れる正確なロングフィード

今季こそ11年ぶりのスクデット獲得を目指すACミラン。ライバルクラブの多くが指揮官の交代を実施する中、このミラノの名門クラブは、ステファノ・ピオリ監督の下で3年目のシーズンを迎えた。チームとしての成熟度は年々増しており、昨季は久しぶりにCL出場圏内となる2位フィニッシュと調子も上向き。同じ指揮官のもとで長くプレイできる、これほどのアドバンテージはない。

ただ一方で、今夏にはいつくか不安材料もあった。チームの10番を背負うトルコ代表MFハカン・チャルハノールと、17歳でデビューして以降長きにわたってゴールマウスを守ってきたイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマの移籍。これはチームにとって大きな痛手だ。主力の退団により、クラブの今後に不安を抱いたミラニスタもいただろう。

しかし、サンプドリアとの開幕戦で新10番のスペイン代表MFブラヒム・ディアスと、新守護神のフランス代表GKマイク・メニャンが躍動。まだシーズンは始まったばかりで、安心するには早いかもしれないが、先の不安を多少は取り除くことができたのではないか。
中でも、メニャンの開幕戦での働きには、ミランの“新たな武器”の片鱗も垣間見ることができた。サンプドリア戦では、セーブやプレイエリアの広さといった守備面での活躍もさることながら、素晴らしいキックで攻撃面での重要性も披露。自陣ゴール前から一発で相手の背後を狙い、この試合ではいく度となくチャンスを作った。9分に決まったディアスの決勝点も、始まりはメニャンのロングフィードだった。しかも、ゴールキックなどを見れば同選手が右利きであることがわかるが、このパスはなんと左足で放ったもの。これだけの精度の高いパスが、両足で遜色なく蹴れるのだから驚きだ。

また、メニャンは左サイドハーフに入ったラファエル・レオンとリール時代(2018-19シーズン)に一緒にプレイした経験がある。すでにお互いのことをよく理解していることもあってか、この試合でもロングフィードから阿吽の呼吸で相手のゴールへ迫っていた。目が飛び出るような“長距離ホットライン”の形成もあるかもしれない。

前守護神のドンナルンマは足元にやや不安を抱えていたため、これらの崩し方は近年のミランではほとんど見られなかった形。今季のミランは、メニャンの“飛び道具”が一つの武器となりそうだ。実際にピオリ監督も試合後、クラブ公式チャンネルのインタビューで「メニャンは非常に正確で、強いロングキックを持っている。対戦相手が我々の陣地に入り込んでいるときには、これを解決策として使用することができると思う」と明かしていた。

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