EUROの“ブレイクスター”ですら手が出し辛い!? 寂しい今夏の欧州移籍市場

EURO2020でブレイクを果たしたダムスゴー photo/Getty Images

コロナ禍による影響が大きいか 

パリ・サンジェルマンやマンチェスター・ユナイテッドなど積極的に補強を行なっているクラブもあるが、今夏の欧州移籍市場はここまで少々寂しいものとなっている。もちろん、つい先日までEURO2020が開催されていたこともあり、市場の動向がスローになっているだけの可能性もある。ただ、やはりコロナ禍によって各クラブの収入が減少している影響は否めないか。

EUROが開催される年の夏の移籍市場は、例年であれば同大会でブレイクを果たした選手たちの争奪戦が繰り広げられる。しかし、今夏はそういった状況がなかなか見られない。EURO2016で言えば優勝国ポルトガルのFWレナト・サンチェスがバイエルンへ、同じくMFジョアン・マリオがインテルへ、さまざまなクラブの争奪戦の末に移籍を果たしている。

ただ、EUROで結果を残せたからといって、クラブでも活躍できる保証はない。EURO2016でブレイクを果たしたこの2選手も、移籍先では大苦戦。この5年間は、EUROで見せたような勢いや輝きをクラブでは発揮できていない。つまりいっときの脚光で選手を獲得することは、クラブにとってリスクでもあるのだ。例年通りクラブやそのオーナー企業が収入をある程度確保できている状況であれば、リスクを冒して獲得にチャレンジすることも問題なかっただろう。しかし、コロナ禍によってクラブのお財布事情が厳しい現状では、なかなか手が出し辛い。
また、ブレイクした選手は大会後に移籍金が高騰していることが予想される。少しでも収入を得るために、売り手側のクラブは移籍金を妥協したくない。一方で、買い手側のクラブはリスクを極力避けたり、少しでも安い移籍金での獲得を目指したり、無駄な支出を避けたい。こういった両者の考えも市場の動向が鈍っている理由だろう。実際、所属クラブのサンプドリアでも昨季一定の結果を残し、EURO2020でブレイクを果たしたヤングスターのデンマーク代表MFミッケル・ダムスゴーですらも、手が出し辛い状況となっている。

ダムスゴーは現在、さまざまなビッグクラブからの関心が噂されており、例年通りであれば激しい争奪戦が繰り広げられていたことだろう。しかし、今のところ同選手に対する具体的なオファーは届いていない模様。サンプドリアのディレクターを務めるカルロ・オスティ氏が伊『IL SECOLO XIX』のインタビューで「我々はまだ、ダムスゴーに関しての問い合わせは受けてない。コロナ禍による新たな傾向が浮き彫りとなっているね。選手が少なければ少ないほどクラブは豊かになるんだ。現代では、量ではなく質が違いを生み出す。監督は選手の質を見極め、ミスをできるだけ少なくする必要がある」と明かしていた。

ダムスゴーがサンプドリアへ加入した際の移籍金は、わずか650万ユーロ(約8億5000万円)だったが、現在の移籍金は4000万ユーロ(約52億円)にも及ぶとされる。はたして、今夏にダムスゴーのステップアップはあるのか。残り1ヶ月となった欧州移籍市場でビッグディールは成立するのか。

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