現時点でこそ少し難しい立場に置かれている若き守護神だが、彼はここから大きな未来を掴み取ることができるか。ドイツに期待の若手GKがいる。
その名はマルクス・シューベルト。シャルケに所属する22歳の才能豊かなGKだ。2019年夏にディナモ・ドレスデンからシャルケに加入した同選手は、昨季ブンデスリーガ9試合に出場。昨夏バイエルン・ミュンヘンへと移籍したGKアレクサンダー・ニューベルと並ぶ主戦GKの1人として頭角を現した。
そして、今季はフランクフルトにレンタル移籍。武者修行先ではクラブの絶対的守護神であるケビン・トラップの牙城を崩せず出場ゼロに終わったが、控えGKとして30試合にベンチ入りしながら同選手の技術を間近で学んだ。シャルケは来季2部リーグを戦うことになるが、彼個人の成長には大いに注目したいところだ。脚光を浴びる機会はさらに少なくなるかもしれないが、もしかするとその間にこの若者は一気にブレイクを果たすことになるかもしれない。
「シューベルトはまだ若いが、良いGKだよ。まだミスを犯す可能性もあるが、シャルケにとっては長期的な解決策となるはずだ。私も彼の成長には大いに注目しているんだ」(独『Revier Sport』』)
これは、かつてバイエルン・ミュンヘンで活躍した元ドイツ代表MFローター・マテウス氏の言葉だ。ドイツのレジェンドも、シャルケが誇る若き守護神の才能は買っている様子。少し足踏みを強いられているイメージも強いシューベルトだが、周囲の彼に対する評価は依然として高いままだ。
「もちろん、個人的に成功とは言い難いシーズンだったね。それは認めるよ。だけど、失敗でもない。EL出場権を掴んだチームで得た経験は大きいよ。それどころか、CL出場権も掴めたかもしれなかったんだ。その点で少しガッカリはしたけど、今季は個人として本当にポジティブな要素があった。新しい環境に身を置いたことで、ひとりの選手としてより成長できた気がする。ネガティブなことなんて数えるほどだったさ。それどころか、ポジティブなことの方が多かったよ」(独『Sport 1』より)
シューベルト本人も自身のスキルアップは実感している様子。あとはそれを表現する機会さえあれば、この若き守護神は一気に殻を破ることができるか。そうなれば、所属クラブの1部復帰にも大きく近づくはず。来季の注目度こそ低いかもしれないが、シャルケで大成長の予感を漂わせる新鋭GKからは目が離せない。