今季限りで“移籍”も青年監督に称賛を ナーゲルスマンがライプツィヒに残したもの

選手からの信頼も厚かったナーゲルスマン監督 photo/Getty Images

タイトル獲得こそ叶わなかったが

今季限りでRBライプツィヒの指揮官を退任することとなったユリアン・ナーゲルスマン監督。残念ながら率いた2シーズンの間にクラブ初のタイトルをもたらすことはできなかったが、彼は確実にドイツの新興勢力を以前よりもう一段階上のレベルへと引き上げたと言っていい。上位争いに加わるクラブから、一気にバイエルン・ミュンヘンの対抗馬筆頭へ。まさに今季はそんなシーズンだった。

そんなナーゲルスマン監督だが、彼がライプツィヒに来る前と後で一体何が変わったのか。おそらく、最も変化したのは戦術の部分だろう。ラルフ・ラングニック政権時から強度の高いプレスが有名だったライプツィヒだが、ナーゲルスマン監督が指揮を執ってからはポゼッションのエッセンスも導入。元来の強みを損なうことなく新たな武器を手に入れ、彼らは完全に“両刀型”のチームへと進化を果たした。

ポゼッション型とカウンター型。以前までは両極端にあるイメージも強かったが、昨今のサッカー界で強いとされるチームはそのどちらも優れている場合が多い。そんなモダンなスタイルを、ナーゲルスマン監督はライプツィヒへともたらすことことに成功したのだ。たしかにタイトルは獲得できなかったものの、今季ブンデスリーガでは2位、DFBポカールでは準優勝と確実に栄冠までは近づいた。優勝を掴むことはできなかったが、それを争えるところまでチームを連れてきた。そういう見方をすれば、33歳の若手指揮官が如何に優れていたかは窺い知ることができる。
「ユリアンの下で僕らは少しずつ改善を見せてきた。特に今季はボールを保持した際のプレイの質がさらに向上した気がするよ。ビルドアップ時とアタッキングサードにおける新たな解決策がたくさん見つかった印象だ。結果としてもう少しゴールは決めたかったけれど、彼のおかげで僕らは確実に成長することができた」(独『Sport Buzzer』より)

ライプツィヒでNo.10を背負うスウェーデン代表MFエミル・フォルスベリも、ナーゲルスマン監督の功績についてはこのように語っている。最高の成績を収めることができないままにクラブを去ることとなった青年監督だが、彼がこの2シーズンで残したものの価値は大きい。今後はライバルとなるものの、来季のライプツィヒは彼の遺産を活用しながら悲願のタイトル獲得を成し遂げることができるか。ナーゲルスマン・スピリットを注入された男たちのさらなる躍進に期待したい。

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