[MIXゾーン]鳥栖の強さはハイプレスだけじゃない 徳島戦で光った臨機応変さ

徳島戦後に手応えを口にしたキン・ミョンヒ監督 photo/Getty Images

選手たちの判断で戦い方を変えた前半

サガン鳥栖は1日、明治安田生命J1リーグ第12節で徳島ヴォルティスと対戦し、2-0の勝利を収めた。今季好調な鳥栖の選手たちの臨機応変さが光った試合となっている。

立ち上がりから戦前の予想通り、ポゼッションサッカーを行う徳島がボールを持つ展開となったこの一戦。ハードワークからのハイプレスを売りとする鳥栖だが、前半は相手の得意とするパス回しを前に、なかなか高い位置からプレスをかけることができない。いや、ボールを前に運ばせず、自由にやらせている印象もないので、ある程度構えてボールを持たせているというのが正しいか。ただ、前半はこれまで見せてきた“鳥栖らしさ”が見られなかったのも事実だ。

これは徳島相手に狙っていたチームとしての戦術だったのか、それともそうではなかったのか。試合後にチームを指揮官を務める金明輝(キン・ミョンヒ)監督が、徳島戦を振り返りつつその真相を明かしてくれた。
「非常にタフなゲームでしたが、しっかりと選手たちが90分間集中して、トライしてくれました。ミスもあったし、思いどおりにいかないところもありましたが、しっかりとやり切ってくれたなと。ホームの後押しも十分に感じたし、ホームの地の利を活かしたゲームができたんじゃないかなと思います」

「どう捉えているのかわからないですけど、GK含めて後ろで回しているだけなので、無理にハメにいくのがハイプレスなのかなというのは僕の中ではあります。結局、ピンチになったのは長いボールからなので……。行きすぎてひっくり返されるというところも含めて、どうかなというところはありました。別に前半自重していたわけでもないし、選手たちが感じた温度感で。徳島さんが後ろに人をためている状況だけだったので、ちょっと(前から)行けないというか、持たせているという状況ではあったと思います。それに輪をかけて行くということもできましたけど、ゲームを90分トータルで考えたときに、結果的にピンチはほぼほぼビルドアップでのミスとか、そういうの以外では作られていないので、うまく守ってくれたかなと思います」

どうやら、あまり前線からプレスに行かなかったのは、選手たちの臨機応変な対応だったという。そして、ホームで勝利を手にするために、ハーフタイムには選手たちへ「行くべきタイミングでは行こう」と指示を出したキン・ミョンヒ監督。選手たちもその指示通り、後半はしっかりと取り所を定め、高い位置でボールを奪うシーン一気に増える。実際、55分に生まれた山下敬大の先制ゴールは、高い位置からプレッシャーをかけ、慌てて入れた縦パスを受けた選手に対して3人で囲い込み、ボールを奪ったところから始まった。前半の戦い方を含めて、指揮官も徳島戦の戦い方に手応えを感じているようだ。

「相手もご存じのとおり、そういうプレスをかいくぐるのが上手なチームなので、やみくもにハイプレスを掛けたらいいのかということでもない。しっかりとした我慢比べだったと思います。自分たちの力は自分たちが一番よく知っているので、徳島さんとの力が大差があるかといったらそうでもない。しっかりと90分間、戦術的な要素も含めて勝ち切った勝利だと思います」

闇雲に前からプレッシャーをかけるのではなく、ハイプレス一辺倒になるのでもなく、状況に応じて変化を見せた鳥栖の選手たち。成長を続ける彼らの勢いは、まだまだ止まらなさそうだ。

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