中堅クラブを導くテクニシャン
優秀な選手の被ファウル数が増えるのは、サッカー界でよくあることだ。普通に対応していても止められない相手と対峙したとき、DFはその進撃をファウルで阻止するしかない。そう考えると、攻撃的な選手からしてみれば、被ファウル数の多さは一種の勲章とも言えるだろう。相手にその才能が認められた証だ。
では、2020-21シーズンのプレミアリーグで最もファウルを受けているのは誰か。それはアストン・ヴィラに所属するMFジャック・グリーリッシュ(25)だ。同選手は今季ここまで実に「100」もの被ファウル数を記録している。これは2位につけるFWサディオ・マネ(64回)を突き放す数字だ。なお、グリーリッシュは昨季も167回でプレミアトップの被ファウル数を記録(各種データは『SofaScore』より)。アストン・ヴィラに所属しているということもあるが、現時点で彼は“プレミアで最も相手に警戒されている男”と言っても過言ではないだろう。
巧みなドリブルや正確なキックで局面を変えることができる選手だけに、相手が必死になってグリーリッシュを抑えに来るのは理解できる。彼を封じ込めることさえできれば、アストン・ヴィラの攻撃力は半減すると言ってもいいだろう。それほどまでに、同選手は試合の結果に影響を与える実力者なのだ。
「ジャックは素晴らしい選手だね。リーグで最高の1人だと僕は思っているよ。彼のプレイスタイルが僕は大好きだ。まるでブラジル人選手のようだよ。ドリブルがとても巧みだし、見ていてとても気持ちがいい。アストン・ヴィラは優れたチームに仕上がっているけれど、その中でもジャックの存在感は傑出しているよ」(英『Daily Mirror』より)
プレミアリーグでしのぎを削るトッテナムのFWルーカス・モウラも、グリーリッシュをこのように高く評価している。イングランドの中堅クラブで異彩を放つテクニシャン。はたして、同選手の被ファウル数は今季あとどれほど増えていくのだろうか。普段あまり注目されないスタッツではあるものの、これだけ抜けた存在がいるとなると、その結末は気になるところだ。