ヴェルナーでもハフェルツでもない 20歳のウインガーこそが新生チェルシーのカギ

カギを握りそうなハドソン・オドイは先発出場を続けるか photo/Getty Images

トゥヘル新体制で2戦連続スタメン出場

フランク・ランパードに代わり、新たなブルーズの監督に指名されたトーマス・トゥヘル。チェルシーはドルトムント時代にDFBポカールのタイトルをもたらし、パリ・サンジェルマンではリーグアンを2連覇。クラブ史上初のUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝に導いたドイツ人指揮官に、チェルシーはクラブの再建を委ねることとなった。

トゥヘル新体制でチェルシーはプレミアリーグ第20節のウォルバー・ハンプトン戦(0-0)、第21節のバーンリー戦(2-0)を1勝1分けでスタートした。まだ2試合を消化しただけであり、しばらくは試行錯誤を繰り返しつつ自身のフットボールをチームに落とし組む作業が続くだろうが、この2戦を通して垣間見えた“トゥヘル・チェルシー”のカギを握りそうな選手がいる。弱冠20歳のウインガー、カラム・ハドソン・オドイである。

ランパード体制最後の試合となったFAカップ4回戦のルートン・タウン戦を挟んでいた影響もあり、トゥヘルはウルブス戦、バーンリー戦の2試合で先発メンバーを入れ替えて挑んだ。そんな中でハドソン・オドイは、GKエドゥアール・メンディ、DFチアゴ・シウバ、セサル・アスピリクエタ、アントニオ・リュディガー、MFジョルジーニョ、マテオ・コバチッチとともに2試合連続で先発メンバーに指名された。

ランパード体制におけるハドソン・オドイが担った役割は、主に膠着した状況や、リードされた状況での崩しの切り札としての起用だった。第3節のウエストブロムウィッチ・アルビオン戦では前半で3点をリードされるなか、後半開始から出場し、1得点を挙げるなど前線を活性化。第17節のマンチェスター・シティ戦では3点のビハインドを負った後半途中に投入され、アディショナルタイムに一矢報いるゴールを挙げている。前任者にはいわゆる“ジョーカー”としての働きを期待されていた。

そんな中でトゥヘルは2試合連続でハドソン・オドイを先発させた。このイングランド人ウインガーは指揮官の期待に応えるパフォーマンスを披露し、バーンリー戦ではアスピリクエタの新体制初ゴールとなる先制点を演出。[3-4-2-1]の右ウイングバックとして上下動を繰り返し、攻撃では得意のドリブルから再三に渡り相手ゴールを脅かすクロスを供給した。

トゥヘル新監督に求められる重要なタスクとして挙げられるのが、大型補強を敢行し獲得した新たなタレントと既存選手の力をいかに融合させ、チームの力に繋げられるかだろう。なかでも攻撃陣は移籍組のヴェルナーやハフェルツ、ハキム・ツィエクに加え、既存組のメイソン・マウント、タミー・エイブラハム、クリスティアン・プリシッチ、オリヴィエ・ジルーと質量ともに十分。プレミアリーグで上位につけるマンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプールなどと比較してもこの陣容は引けをとらない。

そんなタレント軍団の中でハドソン・オドイは、ハフェルツ、ツィエク、マウントらボール扱いに長けたタレントに使われることも、ヴェルナー、エイブラハム、ジルーなどのストライカーにボールを供給することもできる稀有な存在。2試合連続でスタメン起用したトゥヘルの采配からもハドソン・オドイにかける期待の大きさが窺える。

プレミアリーグ後半戦での上位浮上に向けてレジェンドの解任という荒療治を施しトゥヘル招聘に舵を切ったチェルシー。そんなチームのカギを握るのは、ヴェルナーでもハフェルツでもなく20歳の“新鋭”ウインガー、カラム・ハドソン・オドイなのかもしれない。

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