キム・スンギュ側の目線からも考えてみよう。この“後釜”説を紐解くヒントは、彼の過去の発言にも隠されているかもしれない。同選手は昨年7月、神戸退団の経緯を母国メディア『スポーツ朝鮮』に対して次のように語っている。
「試合に出たり、出なかったりするとリズムを整えるのが難しいんです。試合に出続けながら、競争力を維持した状態で代表にも選ばれたかったという思いがありました。今後は重要なW杯予選を控えていて、代表チームでも競争が続いている状態です。(代表で定位置を確保するには)所属チームで良い状態を維持しつつ、より良い姿を見せることが重要なんだと思います」
韓国代表で激しいポジション争いの渦中にあるキム・スンギュ。昨年行われたアジアカップでは全試合でゴールマウスを守ったものの、それ以降はロシアW杯で正守護神を務めたチョ・ヒョヌと出場機会を奪い合っている。代表での定位置を確保するため、蔚山へ帰還した男がわざわざ同じポジションに強敵がいる柏へやってきた。少し不可解な話のようにも思えないだろうか。
加えて、キム・スンギュがスタメンとしての地位を確立していた蔚山は、昨季Kリーグを2位で終えアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得している。そんな中、わざわざACLでプレイするチャンスを投げ打ってまで、彼は今季同大会への出場権を持たない上に中村という強力なライバルがいる柏を選んだのだ。
このキム・スンギュ獲得によって、中村が移籍する予感を察知している柏サポーターも少なくない。SNS上ではこの韓国代表GK獲得の噂が出た段階で中村の去就を心配する人の声も多く見受けられた。前述の経緯があるだけに、そう考えるのも無理はないだろう。
もちろん、柏の提示したプロジェクトに感銘を受けたキム・スンギュが、過去の発言や予想される熾烈なスタメン争いも関係なしに加入を決断したということは十分に考えられる。とはいえ、今回の韓国代表GK加入が嬉しいニュースである反面、柏サポーターに一抹の不安を植え付けたのは間違いない。はたして、柏はどのような意図を持ってこの大型補強を敢行したのだろうか。中村の去就が確定するまで、サポーターは夜も眠れない日々を過ごすこととなりそうだ。
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