先ほどもお話しした通り、特に中盤の人選が定まっていない今シーズンのバルベルデ監督ですが、前線の3人が孤立したり、彼ら任せの攻撃にならないような中盤の構成にしたいという意図は窺えます。アルトゥーロ・ビダル、デ・ヨング、アルトゥール・メロと、比較的運動量が豊富で推進力のある選手を中盤に並べる傾向が強いですし、彼らに積極的に3列目から飛び出し、前線の3人を追い越すランニングを繰り返すよう指示しているふしがあります。こうすることでメッシをはじめとする3トップ頼みの攻撃から脱却し、よりダイナミックな攻撃を実現しようとしているのではないでしょうか。
中盤の人選の基準が少しずつ見えてきた一方で、出場機会が減少気味のMFイヴァン・ラキティッチが先日公の場で不満を語るなど、チーム内には不穏な空気が流れつつあります。これまでクラブの主力として君臨してきたベテラン勢の不満を最小限に抑えながら世代交代を進めるという、極めて難しいタスクを課せられているバルベルデ監督ですが、いち早く核となる布陣やメンバーを固め、選手同士の連係を深めることができるか。選手個々のスキルは間違いなく高いので、ある程度メンバーを固めて試合を重ねれば、自ずと結果はついてくるはずです。就任3年目のバルベルデ監督がこのスター集団をどのように掌握するかに注目しながら、今シーズンのリーガやチャンピオンズリーグを楽しみたいと思います。
ではでは、また次回お会いしましょう!
水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。
●電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)最新号を無料で公開中!
最新号では、波乱巻き起こる英プレミアリーグを大特集! ビッグクラブを襲う試練、襲いかかる伏兵たち、そして最強リヴァプールに弱点は!?
こちらから無料でお読みいただけます。
http://www.magazinegate.com/theworld/