[粕谷秀樹]ランパード新監督に次々と降りかかる火の粉 コンテを追い出した勢力も残っている

粕谷秀樹のメッタ斬り 014

粕谷秀樹のメッタ斬り 014

チェルシーの未来を託されたランパード新監督 photo/Getty Images

無能なくせに政治力だけはある上司

誰が監督になったってうまくいくわけがない。最盛期のサー・アレックス・ファーガソンでも、途中で投げ出すんじゃないか。

だってチェルシーはスカウティングの組織が機能していないっていうか、クラブの根幹を成す重要な部分が存在すらしていないからね。スカウティングだけではなく、財務やマネジメントまで仕切るマリナ・グラノフスカアCEOは、フットボールに関してド素人。一部の選手とエージェントのアドバイスを判断基準として、チェルシーを壊してきた。しかも監督の意見に耳を貸さないことは、ジョゼ・モウリーニョやアントニオ・コンテなど、歴代の監督が明らかにしている。

フランク・ランパード新監督にすると、実に働きづらい環境だ。無能なくせに政治力だけはある上司って、絶望的だよ。現場の意見はいっさい反映されず、責任論ばかり押し付けられる……。混乱必至。

コーチ人事も思惑どおりには進まない。新監督はクロード・マケレレ、あるいはディディエ・ドログバといった、チェルシーの黄金期を支えたOBを招き入れようとしているけれど、グラノフスカアは難色を示した。本拠スタンフォード・ブリッジにはいまでも《SUPER FRANKY》のバナーが掲げられ、サポーターの絶大な支持を集めるランパードの影響力を恐れているみたいだ。これって保身じゃん。チェルシーを愛しているのなら、OBの力を借りて再建しようって思うはずでしょ。

現役時代にチェルシーの黄金期を築いたチェフとランパード。再タッグで飛躍を目指す photo/Getty Images

あることないことCEOに進言し……

ところで、オーナーのロマン・アブラモビッチはなにをしているのかね。スパイ疑惑に端を発したイギリスとロシア間の緊張により、この先もビザは発給されそうもない。ビジネスの拠点もロンドンからイスラエルに移したようで、いずれまた身売り説が浮上するんじゃないかな。ランパードに、頭痛のタネがまた増える。

さらに補強も禁止された。18歳未満の選手を獲得する際のルール違反が発覚。今年の夏から来年1月まで、チェルシーは移籍市場で身動きが取れなくなった。レアル・マドリードに去ったエデン・アザールの穴を、クリスティアン・プリシッチが埋められるとは思えない。有望株のルベン・ロフタス・チークとカラム・ハドソン・オドイは、負傷のためにしばらくOUT。アザールを欠いた現有勢力では限界がある。

こうした状況に陥った場合、クラブは一丸となる必要がある。数字が芳しくなくても、辛抱しなければならない。選手間でもリスペクトされるランパードだから、ペトル・チェフもテクニカル&パフォーマンス・アドバイザーとして支えるから、ロッカールームもコントロールできるはず。これまでと違って、醜い内部闘争は起きない……。いやいや、人って簡単には変われないでしょ。あることないことグラノフスカアに進言し、コンテを追い出した勢力はまだ残っているんだよね。

新監督に降りかかる火の粉が多すぎて、嫌な予感がする。チェルシーって、マジ面倒臭い。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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