[ロシアW杯#43]サッカー王国がついに本領発揮! 南米予選を“ぶっちぎり”で通過した理由を証明

セルビアを崩した一瞬のポジションチェンジ

セルビアを崩した一瞬のポジションチェンジ

先制点が決まった喜びのあまり、パウリーニョに抱きつくネイマール photo/Getty Images

勝利すれば逆転でグループリーグ突破が決まるセルビアは、試合開始から積極的な姿勢を見せた。一方のブラジルも徹底的に引きこもられた前節のコスタリカ戦よりも攻撃しやすかったのか、両チームが序盤から積極的に仕掛けるハイスピードなゲーム展開となった。

セルビアは守備の際も前線から圧力をかけていたのだが、気になったのはブラジル代表FWガブリエウ・ジェズスの動きだ。何度かセルビアのセンターバックがジェズスを自由にしてしまい、良い形で縦パスが入るケースが見られた。このジェズスの動きがブラジルの先制点へと繋がっていく。

36分、ジェズスが中央から左サイド方向へポジションを移そうと動き出すと、これをセルビアのセンターバックの1人であるヴェリコビッチがぴったりとマーク。ジェズスへのパスを消したかったのだろうが、これを見てブラジル代表MFパウリーニョがジェズスの空けたスペースに攻め上がった。セルビアはこの動きを全く監視しておらず、コウチーニョのスルーパスに反応したパウリーニョが飛び出してきたGKの頭上を抜くループシュートを決めてブラジルが先制した。得点シーン以外でもセルビアはパウリーニョが時折見せる縦のポジションチェンジの対応に苦労しており、先制点の場面ではブラジルの得意とするパターンが活きる格好となった。

手堅い守備も見せるサッカー王国の新たな姿

手堅い守備も見せるサッカー王国の新たな姿

無事GL突破を決めたブラジル。エースのネイマールも満面の笑顔だ photo/Getty Images

1点をリードされたセルビアは反撃に出たいところだが、最前線のミトロビッチに向けてクロスを放り込むくらいしか攻め手がない。189㎝の長身を誇るミトロビッチは60分にルカビナのクロスからヘディングシュートを放つも、これはチアゴ・シウバがブロック。5分後にも再びヘヘディンシュートを放ったが、今度はGKアリソンがしっかりとキャッチした。

すると68分、ブラジルはネイマールの蹴ったCKにT・シウバが頭で合わせて追加点。セルビアは高さが最大の武器だったのだが、T・シウバにあっさりとヘディングを許してしまった。やや攻めている時間だったため、この失点にセルビアはガクリときたことだろう。

さらにブラジルは守備固めの動きも早かった。後半に入ってセルビアが攻勢に出てきたことを受け、ブラジル代表監督のチッチはすかさずパウリーニョを下げてフェルナンジーニョを投入。カゼミロとフェルナンジーニョの2人で、中盤をプロテクトする形を取ったのだ。この手堅さが今のブラジルの強みだ。

終盤には最前線からジェズスが自陣深くまで下がって守備をするなど、4年前のブラジルなら考えにくいプレイも目立った。グループリーグではやや苦戦したものの、最終節のセルビア戦でブラジルは本来の姿を見せてくれた。南米予選を圧倒的な強さで突破した理由を証明したブラジルは、決勝トーナメント1回戦でメキシコ代表と対戦する。

[スコア]
セルビア代表 0-2 ブラジル代表

[得点者]
ブラジル代表:パウリーニョ(36分)、T・シウバ(68分)

文/冨田 崇晃

theWORLD212号 2018年6月28日配信の記事より転載

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