今のアーセナルはペップのシティというよりモイーズのエヴァートン!? セットプレイで勝ち続ける姿に「それで十分」

アーセナル指揮官アルテタ Photo/Getty Images

かつての華麗さは影をひそめたが

プレミアリーグ第8節で、アーセナルはフラムに1-0と勝利した。中を固めるフラムを相手に攻めあぐねるなか、セットプレイからのレアンドロ・トロサールの一発で勝利を収めた試合だった。

試合後、ミケル・アルテタ監督は「相手があまり多くの選手を(前線に)残さない低いブロックに対して、我々は(セットプレイで)望む選手を望むポジションに望む役割で配置することでチャンスを得る。我々はそれを活かす必要がある」と語った。

アルテタ監督が現役を引退してから数年の間、ペップ・グアルディオラのマンチェスター・シティでアシスタントコーチとして働いていたことから、ペップ・シティとアーセナルを比較する声は多い。しかし『The Athletic』は、むしろデイビッド・モイーズのエヴァートンに近いのではないかと論じている。アルテタ監督は選手として、7年間ほどをモイーズのもとで戦っている。

実際、[4-3-3]で高いポジションをとること以外は、モイーズのエヴァートンとの共通点は多い。堅固な守備、狭いスペースでプレイできるワイドアタッカー、そしてセットプレイなどだ。

いうまでもなく現在のアーセナルにとって、セットプレイは大きな武器となっている。同メディアによれば今回のゴールは23-24シーズン以降、コーナーキックから挙げた16点目の開幕ゴールだ。これは他のどのチームよりも2倍以上多く、アーセナルはその16試合すべてに勝利している。

ロングスローの流行が示しているように、今季のプレミアリーグではよりダイレクトで、肉体的なプレイがトレンドとなっている。アルテタが志向するサッカーは、こういった流れにも合致するものだ。

さらに今季わずか3失点という守備は、アルテタのサッカーをもっとも特徴づけるものだ。彼らがプレミアリーグの試合で2失点以上を喫したのは、2023年12月のルートン・タウン戦まで遡る。堅固な守備でゴールを許さず、セットプレイからのチャンスを活かして確実に得点する。そういったサッカーで戦った結果、アーセナルは現在リーグ首位にいる。

シティのような鋭いオープンプレイも、リヴァプールのような破壊力のあるカウンターも、今のアーセナルはまだ持ち合わせてはいないかもしれない。だが「それで十分だ」と同メディアは報じた。華麗で脆いかつてのアーセナルを愛してきたファンからすれば、こうした戦術に納得できない部分もあろうが、勝ちきれない華麗なサッカーよりも、泥臭かろうが確実に勝つサッカーの方がタイトルにより近づけるのは言うまでもない。


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