トム・ブレイディが“ワークエシックに懸念”と発言 ルーニー招聘の裏でバーミンガムに何が起きていたのか

バーミンガムの監督だったルーニー氏 Photo/Getty Images

皮肉な空気が漂っていた

NFL界の伝説的存在であり、現在はバーミンガム・シティのマイナーオーナーでもあるトム・ブレイディ氏が、ウェイン・ルーニー氏のマネジメント姿勢に疑問を呈していたようだ。『Amazon Prime』の新ドキュメンタリーシリーズで明かされた内容によれば、ブレイディ氏は「ヘッドコーチのワークエシックがちょっと心配だ」「本能的にあまり良い感じがしない」と発言している。

この発言は2023年11月、ブレイディ氏がクラブの練習場を訪れた際のものとされ、同シリーズ内ではルーニー氏との会話も収録。かつてのマンチェスター・ユナイテッドとエヴァートンのストライカーであるルーニー氏は、「このクラブがプレミアリーグではなくチャンピオンシップにいる理由は、90分間集中する文化がないからだ」と、現場の問題点を語っていた。

しかしその数週間後、バーミンガムはルーニー氏の指揮下で成績不振に陥り、クラブは彼のわずか83日間の在任で解任を決断。当時クラブはチャンピオンシップ6位から20位まで転落しており、ルーニー氏は「13週間では変革を進めるには不十分だった」と述べていた。

バーミンガムはその後、10か月で7人の監督を入れ替える混乱を経験。2023-24シーズン終了時にはリーグ1への降格が決定し、ブレイディ氏は「コーチはすでに変えた。次は選手だ。怠慢で権利意識だけが強い選手たちは勝利に導けない。敗北に関与する全てを変える必要がある」と断言している。

クラブはその翌夏、過去に例を見ない移籍金総額3000万ポンドを投じて再建を図り、2024-25シーズンにはリーグ1で111ポイントを記録し、史上最多勝点で優勝。プレミアリーグ復帰への足がかりを築いた。

一方でブレイディ氏と彼のマネージャーはクラブの練習施設を地図上で探せずに戸惑う様子や「バーミンガムにはもう1つクラブがあるのか?」「アストン・ヴィラはプレミアリーグか?」など、現地の事情に疎い一面も露呈。

また、共同オーナーのトム・ワグナー氏は、3部から連続昇格を果たして注目を集めるレクサムと比較されることについて「我々の目標はレクサムではなく、ヴィラとのプレミアリーグでの対戦だ」と語っている。

ルーニー氏を「最も知名度の高いイングランド人選手」として招いたオーナー陣の狙いは「注目度の向上」だったとの見方も紹介されており、クラブの1年間の混乱と再建の過程が赤裸々に映し出されている。ルーニー氏にとっては苦い経験になってしまったようだ。

記事一覧(新着順)

電子マガジン「ザ・ワールド」No.307 世界神童列伝

雑誌の詳細を見る

注目キーワード

CATEGORY:海外サッカー

注目タグ一覧

人気記事ランキング

LIFESTYLE

INFORMATION

記事アーカイブ