ラポルタ会長の現場介入とサポート不足…… 見え隠れするバルセロナの政治的背景 シャビ退任の理由を英メディアが推察

今シーズン限りで退任するシャビ photo/Getty Images

徐々に強まった“孤立感”

今シーズン限りでの退任を発表したバルセロナの指揮官であるシャビ・エルナンデス監督。

2020年1月のエルネスト・バルベルデを解任した後の監督オファーは断っており、2021年11月、2度目の打診でバルセロナの監督に就任することになったシャビ。しかし“レジェンド”でもあるシャビ政権は3シーズンで終わりを迎えることになった。

昨シーズンはラ・リーガ制覇を達成。結果を残したかに思えたシャビだが、守備的な戦いには一部で不満の声もあった。そして今シーズンは首位を走るレアル・マドリードや躍進のジローナにタイトルレースをリードされ、リーグ制覇が現実的なものではない状況となっている。シャビ監督の采配に疑問の声も大きくなり、手腕を疑問視する見方も強くなった。徐々に解任の噂も流れ始めるなか、自ら退任するという形をとった。
英『BBC』は、バルセロナにとってシャビの監督就任は当初からベストな選択肢ではなかったのではないかとの見方を示している。

「ラポルタ会長は、カタールでの2シーズン半のキャリアをバルセロナのようなクラブの監督を務めるには不十分だと考えていたため、シャビを監督として理想的な人物だとは考えていなかった。それでもラポルタ会長がシャビを起用した主な理由はいくつかある。彼は人気だったし、物事が十分に機能しないときの盾として機能することを考えれば、"レジェンド "を雇うことは自分のプロフィールにとって決して悪いことではないだろうと考えた。さらに、バルセロナの財政状態があまりにもひどかったため、ラポルタの希望リストに載っていたような当時の世界トップクラスの監督たちは、誰もバルセロナに手を出そうとはしなかった」

また同メディアは、シャビ監督は周囲からのサポートを受けることができなかったのではないかと報じている。

「最近のシャビは孤立感を感じている。彼と非常に良好な関係を築いていたマテウ・アレマニーSDとジョルディ・クライフSDが夏に退任し、ラポルタ会長の考え方に近いデコが入ったことで、彼は権威を失った。デコは、シャビの仕事ぶりに対して不安を抱いており、それをプライベートで口にすることを恐れないと言われている」

そして12月13日、2-3で敗れたチャンピオンズリーグのグループリーグ第6節、アントワープ戦がシャビのひとつのターニングポイントだったと同メディアは推察している。

「チャンピオンズリーグのアントワープ戦では、監督はすでにメンバーを決めていたにもかかわらず、ラポルタ会長は当初休ませる予定だったスター選手のFWロベルト・レヴァンドフスキ、MFイルカイ・ギュンドアン、DFロナルド・アラウホを復帰させるよう要求した。結局、レヴァンドフスキは先発メンバーに名を連ね、ギュンドアンは60分から出場した。一線を越えてしまったのだ。もしグアルディオラが同じような状況に直面したら、どのような返答をしたかは想像するしかない」

リーグ戦では不安定な戦いで、采配にも疑問が多かったシャビ監督の退任は“時間の問題”だったと言えるのかもしれない。しかし退任の背景にあるのは、バルセロナのクラブとしての政治的、経済的な問題だ。シャビは今シーズンいっぱいまで指揮を執る。“レジェンド”でもあるシャビのバルセロナでの幕引きはどのような形になるのだろうか。

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