三笘の能力引き出す“ポゼッション”の使い方 マンCに次ぐ60.4%のポゼッション率が示すブライトンの支配力

ブライトンの攻撃は世界を魅了している photo/Getty Images

ポゼッションが無駄になったわけではない

昨年のワールドカップ・カタール大会でも堅守速攻が1つのキーワードになっていたが、ポゼッションが無駄になったというわけではない。

今季のブライトンはそれを象徴する存在と言えよう。ロベルト・デ・ゼルビが指揮するチームは60.4%と高い平均ポゼッション率を誇っており、これはマンチェスター・シティの65.4%に次いでプレミアリーグで2番目に高い。

その中で日本代表FW三笘薫も輝きを放っており、ブライトンのスタイルが三笘の100%を引き出しているのは間違いない。
ブライトンの場合は、ただボールを保持するためのポゼッションではない。相手を確実に崩す明確な目的を持ったポゼッションであり、重要なのはポゼッションの活かし方だ。

情報サイト『Transfermarkt』もブライトンの快進撃を特集しているが、その中でDFアダム・ウェブスターは自分たちのサッカーについてこう語っている。

「監督は、僕たちがボールを持っている際に時間をかけてほしいと考えている。相手のプレッシャーがくるまで待つべきで、そこから何かが開かれる。ボールを持ってから慌てる必要がないようトレーニングを積んできた。急ぐ必要はないんだ」

ウェブスターら最終ラインの選手たちはビルドアップの始まりとなる存在で、彼らが勇気を持ってボールを前へ運ぶところからブライトンの攻撃がスタートする。相手を自陣へ引き寄せ、そこからチームの約束事を守りながらボールを前線へ展開していくのだ。

指揮官デ・ゼルビも「我々はゲームを楽しみたい。ボールがあってこそ楽しめるものだということを学んだ。60%、70%のポゼッション率があれば、勝つ可能性が高くなる」と手応えを口にする。

ウイングに入る三笘らは幅を取り、彼ら前線にボールが入ってからは一気に攻撃がスピードアップする。

下から組み立てるブライトンのやり方は上手くフィットしており、1試合平均シュート本数はマンCと並んでプレミア首位となる16.1本だ。マンCのアーリング・ハーランド級のストライカーを抱えているわけではないため決定力はやや落ちるが、それでも相手を崩せているのは確かだ。

デ・ゼルビとブライトンのフットボールは多くのクラブ、代表チームに刺激を与えているはずで、参考にするチームも増えるはず。速攻も重要だが、ポゼッション率を高く保つ戦い方も引き出しの1つにできれば大きい(データは『WhoScored』より)。

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