[W杯マッチレビュー03]“FIFAランク20位アジア最上位のイラン”が6失点の大敗 114分間のロングゲームをイングランドが制す

ブカヨ・サカの2ゴール含む6得点でイングランド大勝photo/Getty images

イングランドがタレントの質でイランを圧倒した

MATCH 03 グループB 第1節 2022年11月21日 16:00キックオフ(会場:ハリーファ)
イングランド 6-2 イラン

グループB第1節イングランド対イランの一戦が行われた。注目ポイントは優勝候補とされるイングランドの調子であり、9月まで行われたUEFAネーションズリーグでは6試合で1度も勝つことができなかった。

それでもこの一戦では地力の差で上回るイングランドが主導権を握る。セットプレイのリスタートからハリー・ケインがボールを受けると、右サイドから高精度のクロスを供給。ゴール前にはラヒーム・スターリングがいたが、イランの守護神アリレザ・ベイランヴァンドが手を伸ばし、最初のピンチを跳ね返した。
しかしそのプレイでベイランヴァンドが負傷。鼻からの出血もあり、続行は難しいかと思われたが、16分からプレイが再開された。が、その直後ベイランヴァンドがプレイを止め、自ら交代を求めてベンチのホセイン・ホセイニと交代でピッチを去ることに。

勢いを強めたイングランドは35分、先制ゴールを挙げる。直前のセットプレイから良さを見せたマグワイアの素晴らしい縦パスでイランのブロックを攻略すると、最後は左サイドにいたルーク・ショーのクロスにジュード・ベリンガムが合わせてイングランドがリードを得る。

イングランドはその後も攻勢を弱めず、ブカヨ・サカ、スターリングが追加点を挙げ、3-0で試合を折り返すことに。前半はベイランヴァンドの治療が長引いており、ロスタイムは14分と長いものとなった。

劣勢でもモハメド・タレミは2ゴールを挙げイラン代表の攻撃をけん引した photo/Getty images

大敗となったがここぞという場面でゴールを奪えるタレミの存在は大きい

後半にもサカに追加点が生まれ、4-0とイランとしては苦しい状況に追い込まれたが、エースが反撃の狼煙を挙げる。65分右サイドで高い位置を取ると、バイタルエリアでアリ・ゴリザデが相手を引き付け、モハメド・タレミがボックス内で右足を振り抜く。ワンタッチシュートでも精度は抜群であり、ポルトで活躍するストライカーが意地の一発を沈めた。

後半も前線からプレッシングを仕掛けるイランだが、イングランドは簡単にそのプレスを剥がす。84分の場面が分かりやすく、中盤でボールを受けたフィル・フォーデンから一気に展開され、マーカス・ラッシュフォードにシュートを打たせてしまっている。中途半端なハイプレスが仇となっており、ジャック・グリーリッシュの6失点目もカウンターの形だった。

後半のロスタイムも長く10分追加されることに。前半でも14分のロスタイムを設定しており、合計で24分ロスタイムが取られる珍しいゲームとなった。

長い長いグループBの初戦は6-2でイングランドがイランを圧倒した。序盤はイランの積極的なハイプレスが効果的だったが、徐々にイングランドの選手が適応し1本の縦パスから局面をひっくり返す場面が目立った。イングランドの前線にはスピードとテクニックを併せ持つFWが揃っており、スペースを与えてしまえば止めることはできない。

FIFAランキング20位アジアでは日本よりも上に位置するイランだが、イングランドに粉砕されてしまった。序盤の守護神負傷のアクシデントもあったが、各局面でイングランドに圧倒されており、難しいゲーム展開に。ハイプレスを外されピンチになることが多く、2戦目、3戦目に向けて致命的な課題が見つかってしまった。

イングランド代表の前線は豪華でスペースを生かしたカウンターは止められない photo/Getty images

[スコア]
イングランド 6-2イラン

[得点者]

イングランド
35分 ジュード・ベリンガム
43分 ブカヨ・サカ
46分 ラヒーム・スターリング
62分 ブカヨ・サカ
71分 マーカス・ラッシュフォード
90分 ジャック・グリーリッシュ

イラン
65分 モハメド・タレミ
90+13分 モハメド・タレミ(PK)

[ポゼッション]
イングランド69% イラン20%

[シュート数]
イングランド13本 イラン8本

[枠内シュート]
イングランド7本 イラン3本

[イエローカード]
イラン 2枚
25分 アリレザ・ジャハンバフシュ
48分 モルテザ・プーラリガンジ

[ラインナップ]
イングランド
フォーメーション : [4-3-3]

監督 : ガレス・サウスゲイト

GK
ジョーダン・ピックフォード(エヴァートン)

DF
キーラン・トリッピアー(ニューカッスル)
ジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)
ハリー・マグワイア(マンチェスター・ユナイテッド)
ルーク・ショー(マンチェスター・ユナイテッド)

MF
ジュード・ベリンガム(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
デクラン・ライス(ウェストハム)
ブカヨ・サカ(アーセナル)
メイソン・マウント(チェルシー)
ラヒーム・スターリング(チェルシー)

FW
ハリー・ケイン(トッテナム)

交代出場
70分 ハリー・マグワイア→エリック・ダイアー(トッテナム)
70分 ブカヨ・サカ→マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)
70分 メイソン・マウント→フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)
70分 ラヒーム・スターリング→ジャック・グリーリッシュ(マンチェスター・シティ)
75分 ハリー・ケイン→カラム・ウィルソン(ニューカッスル)

イラン
フォーメーション : [5-3-2]

監督 : カルロス・ケイロス

GK
アリレザ・ベイランヴァンド(ペルセポリス)

DF
サデギ・モハラミ(ディナモ・ザグレブ/クロアチア)
ミラド・モハマディ(アテネ/ギリシャ)
モルテザ・プーラリガンジ(ペルセポリス)
ルーズベヒ・チェシミ(エステグラル)
マジド・ホセイニ(カイセリスポル/トルコ)

MF
エフサン・ハジサフィ(アテネ/ギリシャ)
アリ・カリミ(カイセリスポル/トルコ)
アフマド・ノールッラヒー(アル・アハリ/UAE)

FW
メフディ・タレミ(ポルト/ポルトガル)
アリレザ・ジャハンバフシュ(フェイエノールト/オランダ)

交代出場
20分 アリレザ・ベイランヴァンド→ホセイン・ホセイニ(エステグラル)
46分 アリ・カリミ→サイード・エザトラヒ(ヴェイレ/デンマーク)
46分 ルーズベヒ・チェシミ→ホセイン・カナーニ(アル・アハリ/カタール)
46分 アリレザ・ジャハンバフシュ→アリ・ゴリザデ(シャルルロワ/ベルギー)
63分 ミラド・モハマディ→メフディ・トラビ(ペルセポリス)
77分 アフマド・ノールッラヒー→サルダル・アズムン(レヴァークーゼン/ドイツ)

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