B・シウバ以上にカンセロは重要? ペップ・シティが逆足SBを手放してはいけない3つの理由

マンチェスター・シティ加入後さらなる成長を見せたジョアン・カンセロ photo/Getty images

怪我人の多いシティにとって頑丈さは一つの武器になる

英『Manchester Evening News』によると、レアル・マドリードはマンチェスター・シティのアーリング・ハーランドとジョアン・カンセロの2人に関心を寄せているようだ。

ハーランドは2024年の夏に、カンセロは来夏獲得に動くとされている。カルロ・アンチェロッティ率いるレアルは30歳とベテランの域に突入し、怪我での離脱が多くなってきたダニエル・カルバハルの後釜としてカンセロを考えており、5000万ユーロでシティにオファーを出すという。

この移籍報道の真意は定かではないが、シティ率いるジョゼップ・グアルディオラがカンセロを手放すことはあるのだろうか。
ベンフィカ、バレンシア、インテル、ユヴェントスを経て2019年からシティでプレイするカンセロ。加入当初はポジションを掴めないでいたが、徐々に頭角を現わし「カンセロ・ロール」と呼ばれる自身の名がついたスタイルまで生まれている。

基本的に右サイドバックでプレイすることが多い同選手だが、シティでは一昨季から左サイドバックでの起用が多くなっている。要因としては右SBのカイル・ウォーカーは守備に特化した選手であり、ビッグマッチでの起用は必須で、対する左にこれといった戦力がいなかったからだ。現アーセナルのオレクサンドル・ジンチェンコはいたが、当時パフォーマンスの波が激しく、より攻撃に特化した右利きのカンセロが左SBを務めていた。

利き足のサイドでプレイすることが定石のSBだが、逆足のサイドに配置されることも悪くない。SBの攻撃参加は大外からのクロスが基本であり、リヴァプールのトレント・アレクサンダー・アーノルドがそうだろう。それでも問題ないが、ゴールへの角度でいえばコースがない。だがそのサイドとは逆の足であればシュートからゴールを狙うこともでき、選択肢が多くなる。カンセロは左足でも高精度のパスを供給することができ、より攻撃的なカンセロには逆足SBが合っているのだ。

カンセロがペップに重宝されている理由は多く、まずその1つが前述した両サイドのSBとしてプレイできること。2つ目は怪我の少なさだ。昨季は52試合、計4622分でピッチに立ち、3ゴール10アシストを記録している。これは比較的離脱の少ないエデルソン・モラレスやルベン・ディアス、ロドリ、ベルナルド・シウバをも上回る数字だ。『transfermarkt』の調べによると、カンセロはシティ移籍後負傷で試合を欠場したのは5試合のみだという。ここに記載されていないが、代表での活動も行っており、この頑丈さが、ペップから信頼を得られる理由だ。

最後はシティが求めているSBが移籍市場に出ていないことが理由にある。シティは今夏当時ブライトンのマルク・ククレジャを狙っていた。しかしブライトンはシティの提示額を大きく超える5000万ポンド以上を要求しており、シティはそれで手を引いている。ジンチェンコがチームを去り、SBは明らかに補強ポジションだったが、即戦力ではないセルヒオ・ゴメスをアンデルレヒトから獲得して移籍市場を後にしている。

英『The Athletic』は、シティがククレジャから手を引きゴメスを獲得した後もSBを探していたが、これといった選手は見つからなかったと報じている。シティからすれば移籍市場でのSBは人材不足なのだ。そのため今季はリコ・ルイスやジョシュ・ウィルソン・エスブランドのような若手をトップチームに帯同させ成長を待っている。

クラブと2027年までの契約を結ぶカンセロ。シティは選手本人が移籍に前向きであれば放出するとの意向を示しているが、誰よりも欠かせないカンセロを手放すのか。シティはB・シウバの去就が騒がれているが、ボルシア・ドルトムントのジュード・ベリンガムのような明確な後釜候補がいる。だがカンセロはそうではなく、今の移籍市場を探してもカンセロのような両サイドをハイレベルでプレイできるSBはいない。

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