オヤルサバル復帰は久保にとって“吉と出るか、凶と出るか” 限定的な2トップの一角というサムライの最適ポジション

レアル・ソシエダで充実した新シーズンを送る久保建英 photo/Getty images

スタートダッシュに成功した久保

久保建英が所属するレアル・ソシエダは開幕から[4-4-2]を基本システムとして戦っている。より細かくすれば[4-3-1-2]の中盤ダイヤモンドであり、過去にはユヴェントスが採用していたシステムだが、2022年現在でこのシステムを採用するチームは珍しい。

久保の加入で中盤ダイヤモンド型の[4-4-2]はかなりハマっているように見える。ダビド・シルバと久保のダブルトップ下のような形になっており、アタッキングサードでは久保、シルバ、アレクサンデル・イサクらがショートパスをテンポよくつなぎ相手ゴールに迫る。とくに久保は近年見られなかった充実を見せており、ラ・レアルへの移籍は正解だったか。

ただこのシステムは中盤3枚にかなりの運動量が求められる。中央だけでなくサイドにポジションを変えパスコースを作ることも必要であり、バルセロナ戦ではマルティン・スビメンディ、ミケル・メリーノ、ブライス・メンデスの中盤トリオはかなり走らされていた。バルセロナ戦の後半で「ガス欠」してしまったのも、中盤の負担が大きくなってしまったからだろう。
昨季も中盤をダイヤモンドにする[4-3-1-2]は採用されていたが、リーグ戦で最も使用したシステムはオーソドックスな[4-2-3-1]だ。両翼にはサイドアタッカー要素の強いアドナン・ヤヌザイとミケル・オヤルサバルを配置し、リーグ6位でフィニッシュしている。

従来の[4-2-3-1]ではなく[4-3-1-2]を今季採用しているのはそのオヤルサバルが怪我で離脱しているからだ。スペイン代表にも選ばれているチームのエースで10番を背負うレフティだ。19-20シーズンには10ゴール11アシストと二桁得点二桁アシストを記録しており、攻撃面で圧倒的な存在を誇る。しかし3月に左膝前十時靱帯を負傷する大怪我を負っており、現在は離脱している。復帰まではかなり時間がかかるといわれていたが、西『EL DIARIO VASCO』によると松葉杖を使わずに歩いているところをホームであるエスタディオ・アノエタで確認されたという。まだ復帰のアナウンスはないが、同紙によると走れる段階まで回復しており、復帰に近づいていると報じている。

ラ・レアルにとってこれは朗報だ。前述したように攻撃面での中心人物であり、システムの幅が広がる。しかし久保にとっては強力なライバルの出現だ。

オヤルサバルが復帰となればイマノル・アルグアシル監督が昨季の[4-2-3-1]や[4-3-3]にシステムを戻す可能性がある。そうなれば久保がポジションを争うとすればトップ下でのシルバだ。36歳の大ベテランであり、彼と交代でピッチに立てる可能性は高いが、先発の座を奪うのは難しいだろう。

現状は2トップの一角が久保の最適解だが、オヤルサバルが復帰することを考えればよりサイドでも通用するところを見せる必要がある。2トップの一角であるセカンドストライカーでは実力を証明しているが、起用のバリエーションが少ない。限定的であり、今後を考えれば別のポジションでの成長が必要だ。

オヤルサバル復帰までによりアルグアシル監督にアピールしたい久保。スタートダッシュには成功しており、次節エルチェ戦での活躍に期待だ。

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