“31試合で72ゴール”を奪うシティがなぜハーランドを欲しがる? フィニッシュ、ビルドアップ面で物足りないチームの問題点

来夏の移籍市場で移籍濃厚とされるアーリング・ハーランド photo/Getty images

獲得となるか

今夏の移籍市場でハリー・ケインを取り逃し、来夏にはアーリング・ハーランドの獲得を目指しているマンチェスター・シティ。獲得のライバルはレアル・マドリードとされており、スペインの白い巨人との争奪戦を制したい。

そんなシティだが、なぜそこまでストライカーにこだわるのか。現状では[4-3-3]の最前線中央にフィル・フォーデンを置いた偽9番がフィットしており、31試合で72ゴールを決めている。プレミアでこの数字を上回るのは79ゴールのリヴァプールのみであり、得点力不足というわけではない。

シティがストライカーを欲する一つの理由は、単純に高さが欲しいからだ。ケインは189cm、ハーランドは194cmと大きく、前線のターゲットマンとして機能する。前線にサイズのある選手がいるだけでケビン・デ・ブライネやジョアン・カンセロらが放つクロスが強力になる。現状ではフォーデンが171cm、ラヒーム・スターリングが170cmと前線に高さがまるでない。そのため、パスやドリブルでの崩しを中心とした地上戦でゴールを目指しているが、高さが加われば空中戦からでもゴールを狙える確率が高まる。

この高さはフィニッシュ以外にも重宝する。後方からのビルドアップだ。シティの攻撃のスタートはGKからのビルドアップであり、そこからセンターバックやサイドバック、アンカーの選手が工夫して前線にボールを運ぶ。しかし、FAカップのリヴァプール戦のようにメンバーが大きく変われば、リヴァプール級のハイプレスから逃げることができず、押し込まれてしまう。そうなれば必然的に自陣でプレイする回数が増え、ピンチに陥ることが多い。ここで前線にサイズのあるターゲットマンがいれば、彼に蹴りこむだけで攻撃が前進する可能性がある。この一つの選択肢が増えるだけで後方でのビルドアップはだいぶ楽になるだろう。

また、ボックス内でキープ力を見せることができれば、ジャック・グリーリッシュら単独での突破力を強みにしていない選手のボールの収めどころとなる。特にグリーリッシュはサイドからポストプレイヤーにパスを当ててボックス内に侵入するプレイがアストン・ヴィラ時代に見られており、ハーランド獲得でより輝くことになるか。

英『Daily Star』によればシティが争奪戦を一歩リードしており、週給37万5000ポンド(日本円にして約6337万5000円)の年俸を提示するとの報道もある。これはケビン・デ・ブライネとほぼ同額であり、シティの本気ぶりが分かる。

リーグ戦31試合で72ゴールを決める得点力を持つも、2-3で敗れたトッテナム戦のように中央を固められた守備をされると途端に苦しくなるシティ。そうなると高さのあるストライカーを欲するのは必然であり、今後の動向に注目だ。

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