対ドイツ、スペインに向けシステム変更をテストすべき 優勝候補たちに日本代表が勝つ策とは

スペイン、ドイツと同組となった日本代表 photo/Getty images

試合前の準備が重要となる

2日にワールドカップ・カタール大会のグループステージ抽選会が行われ、日本代表はグループEに入った。対戦相手はスペイン代表、ドイツ代表、そしてニュージーランド代表対コスタリカ代表のプレイオフの勝者が4カ国目としてグループEに入ることになる。グループステージを突破して8強入りすることを目標と考えれば、スペイン、ドイツの2カ国は強力で、プレイオフを戦うコスタリカは北中米カリブ海の予選では本選出場を決めているアメリカ代表やカナダ代表を破っており、勝ち上がってくれば非常に厄介な相手となる。

日本代表としては死の組に入ってしまったわけだが、対戦相手がほぼ決まり、ここから対策を練ることができる。残り期間は約7カ月であり、具体的な親善試合としては6月のキリンチャンレンジカップと、9月の代表ウィークが予定されている。そこでは仮想スペイン、仮想ドイツなどに見立てた対戦相手とのゲームを戦い、収穫を得る必要がある。

スペインとドイツはどちらも選手層が厚く、ボールを保持したポゼッションサッカーを展開してくると予想できる。両者ともにここまでそういった戦いを披露しており、スペイン代表は直前のアイスランド戦では5-0と快勝し、ボール支配率は90分通して85%となっている。ドイツ代表もスペイン代表ほどではないが、2-0で勝利したイスラエル戦では69%の保持率を残している。

細かいディティールの部分はもちろん違うが、大枠ではボールを保持して相手を押し込み、チャンスを生み出すサッカーであり、日本代表がやるべきスタイルは守備を重視した戦い方だ。スペイン、ドイツともに日本代表がベトナムにやられたように自陣に引きこもる守備を崩せないことが何度かあり、スペインは昨年の3月に行われたギリシャ戦で1-1と勝ちきれないゲームがあった。ドイツも同じであり、昨年4月に行われた北マケドニア戦では攻め続けるも少ないチャンスをものにされ1-2と敗戦している。スペイン、ドイツともに頼りになるストライカーが不在であり、アルバロ・モラタやティモ・ヴェルナーの決定力の低さは問題視されている。日本がロールモデルとするべきはこのギリシャと北マケドニアの堅守速攻である。

であれば、守備時は5バックに形を変える3バックを今後はテストしていくべきだ。ペナルティエリア内に人を集め、攻撃を跳ね返し続ければまだ分からない。幸い、日本代表のセンターバック陣には189cmの吉田麻也、188cmの冨安健洋、186cmの板倉滉がいる。現状ではまだ選ばれていないが、伊藤洋輝も188cmと大きく、197cmのシュミット・ダニエルはハイボールの処理を得意としており、制空権を握ることができる可能性は十分にある。

次は攻撃だが、伊東純也や三笘薫からなる二人のドリブラーがどこまで相手の守備をかく乱できるのかが注目だ。スペイン代表はスタイル上、前に重心を置くことが多く、たびたび裏を取られてピンチになるシーンが散見されている。CB陣のエリック・ガルシアやアイメリック・ラポルトはスピードタイプの守備者ではなく、カウンターでの攻撃は有効だ。

しかし、これはドイツ相手には期待できないかも知れない。守護神は驚異の守備範囲を誇るマヌエル・ノイアーであり、CBには対人性能の高いアントニオ・リュディガーがいる。そのため、現状では未招集だが、191cmの原大智が持つ高さのオプションがあれば、攻撃に幅が出る。セットプレイで輝くことのできるキッカーとして遠藤保仁や中村俊輔級の選手がいないのは気がかりだが、セットプレイの強化は本大会までのポイントの一つだろう。

アジア最終予選では[4-3-3]でボールを保持する戦い方を選んだ日本代表。結果そのシステムに変更後は6連勝と流れを掴んだが、スペインやドイツといった世界最高峰の相手となればまた話は変わってくる。幸い、スペインやドイツへの対抗策となる参考文献は多く、作戦を練るには十分な時間がある。森保一監督はサンフレッチェ広島時代に3バックでJリーグを制するなど、3バックを熟知しており、日本代表にそれをどう落とし込むのか注目したい。

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