オランダで示した自身の価値 新世代SB菅原由勢は酒井、山根の牙城を崩せるのか

右サイドバックに続き右サイドハーフでもプレイするようになった菅原由勢 photo/Getty images

代表入りが期待される21歳

前回の代表戦では吉田麻也、冨安健洋といった軸となるCBを欠いた日本代表。しかも、サウジアラビアとの重要な一戦を控えているという状態であり、絶体絶命のピンチとなったが、それを救ったのが板倉滉、谷口彰悟の2人だった。代表ではあまり起用されることのなかった選手たちであり、試合前は不安の声が大きかったが、中国戦ではほぼ完ぺきなパフォーマンスを披露。続くサウジアラビア戦でもアジア屈指の攻撃力を持つ相手を完封して見せた。この2試合で両者の評価は急上昇しており、日本代表のCBの選手層が一気に高まることになった。

このように今の日本サッカーには代表で目立った活躍がなくとも実力を持った選手は多く、板倉、谷口の2人がそれを証明してくれた。

こういった出来事もあってか森保一監督は3月24日に予定されているオーストラリア戦の招集メンバーについてオンライン取材に応じ、「次の世代の選手たちに今後A代表の戦力となってもらえるように経験を積んでもらう」と若手の招集を示唆している。ここでの経験はピッチに出すということよりも、A代表の空気感を味わうということだと考えられるが、どのような選手が呼ばれることになるのだろうか。

期待したい選手であれば、エールディヴィジのAZでプレイする菅原由勢は今季評価を上げている選手の一人だ。

名古屋グランパスでキャリアをスタートさせ、2019年にAZに加わった菅原。当初は期限付きでの移籍だったが、活躍が認められ完全移籍となっている。右サイドバックを本職とする選手であり、今季はリーグ戦だけで25試合に出場。1ゴール3アシストを記録している。守備時の読みが鋭い選手であり、エールディヴィジでのタックル数62回はDF限定だがリーグで4番目の数字である。

また、今季はプレイエリアを攻撃的なポジションにまで広げており、右サイドハーフでの起用が見られるようになった。推進力のあるドリブルやスピードを評価されての起用か、そのポジションでピッチに立った試合ではゴールを決めており、さらに評価を高めている。

代表での右SBは酒井宏樹と山根視来の2人が不動だが、彼を3人目に加えて競争力を高める選択肢も悪くない。人数の限られる代表では菅原のようなユーティリティ性は必要であり、何より21歳と若い。本格的な起用はカタール大会後になるかも知れないが、早いタイミングで代表に慣らすことも大事になる。

国内での報道は少ないものの、オランダでは安定したパフォーマンスを見せている菅原。呼ばれていないのが不思議なくらいの選手であり、そろそろ彼が代表の常連となる時期が来たのかも知れない(データは『SofaScore』より)。

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