守備よりも早く数字に変化が表れた モウリーニョ就任で進化したローマの攻撃

強力な前線の選手たちが絶え間なくチャンスを作り出す今季のローマ photo/Getty Images

チャンスの数は増加

今季からASローマの指揮官に就任したジョゼ・モウリーニョといえば、注目が集まるのはその守備戦術だ。行く先々で自陣ゴール前にバスを停め、そのたびに「守備的だ」と批判を受けながらも結果を残してきた同監督。そんな彼が昨季まで守備の緩かったチームをどう変えていくのか。2021-22シーズン開幕前のローマにとって、これは間違いなく最大級のトピックだったと言っていい。モウリーニョの守備戦術がジャッロロッシを変えると期待したファンは多いはずだ。

しかし、モウリーニョ体制となった今季のローマにおいて、守備よりも先に変化が表れたのは攻撃のほうなのかもしれない。もちろん守備もディティールの部分でモウリーニョ色は出ているのだが、より顕著に数字が出ているのはオフェンス面だ。

それも、なにかひとつが飛び抜けているわけではなく、今季のローマはあらゆるオフェンスアクションに関連するスタッツでリーグ上位を記録している。伊『Gazzetta dello Sport』によると、同クラブはここまで消化したセリエAの7試合で114本のシュートを放っており、これはリーグトップの数字だという。さらに、ポストにヒットしたシュート数「6」も、ボローニャと並んでリーグトップタイ。昨季まではビルドアップの部分で苦労しフィニッシュまで至らないシーンも散見されたローマだが、今季は自分たちの攻撃をきちんと完結させることができている。加えて、コーナーキックの獲得数もリーグトップの「46」。総得点数こそリーグ3位の「16」だが、チャンスが増えていること自体はポジティブに捉えていいはずだ。
もちろん、裏を返せば「これだけチャンスがありながらフィニッシュの精度が低い」と見ることもできるだろう。しかし、ゴールというのは水ものだ。決まるときは決まるし、決まらないときはなかなか決まらないもの。大事なのは決まらないときにも継続してチャンスを演出し続けることで、各選手のフィーリングが合ってくれば今後向上する部分もあるはずだ。そういう見方をすれば、現状のチャンスを演出できている点は評価できると言っていいだろう。

モウリーニョという名将を招聘したことで変わり始めたローマの攻撃。もしかすると、シーズンが終わってみればジャッロロッシはとんでもない得点数を叩き出しているかもしれない。

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