まるでガットゥーゾとピルロのハイブリッド? ミランの“現代的MF”が主役になるとき

ミラン加入2年目の今季、成長した姿を見せているトナーリ photo/Getty Images

カリアリ戦では美しいFK弾

イタリアの将来を担うと期待の若手MFが、ついに本領発揮か。今季は所属クラブであるACミランの、そしてセリエAの主役のひとりとなるかもしれない。

セリエBの最優秀若手選手に2年連続(2017-18、2018-19)で輝くなど、ブレシアでの活躍が認められ、レンタル移籍ではあるものの昨年9月にミランへのステップアップを果たした現在21歳のMFサンドロ・トナーリ。ブレシアの下部組織育ちということもあって、大先輩である元イタリア代表MFアンドレア・ピルロと比較されたり、19歳でA代表デビューを飾ったりしていたこともあり、大きな期待を背負ってミラノの名門クラブの一員となった。

しかし、加入1年目の昨季は公式戦37試合に出場したものの、やや新天地への適応やプレッシャーに苦しんだ印象。ポテンシャルの高さや素晴らしいプレイを披露する試合もいくつかあったが、ベンチを温めている時間の長さから見ても、思い描いていたようなシーズンではなかったことが見て取れる。ただ、その才能に疑いの余地はない。実際、ミランはこういった将来性を買ってか、長きにわたる交渉の末にトナーリを完全移籍で獲得している。
そして今季、トナーリはミランでの勝負の2年目を迎えた。10番を背負い、チームを引っ張ってきたMFハカン・チャルハノールが今夏にチームを退団。チームの心臓であるMFフランク・ケシエも怪我で出遅れている。昨季まで中盤を支えてきた主力選手たちの不在で、トナーリに対する期待は昨季以上のものだったかもしれない。しかし、この若き逸材はこれらのプレッシャーを跳ね除け、開幕戦から成長した姿を見せている。しっかり指揮官やファンの期待に応えて見せたのだ。

豊富な運動量で守備に奮闘し、ときおり見せる泥臭いプレイは、自身のアイドルと公言してきた「ジェンナーロ・ガットゥーゾ」のよう。そして、第2節カリアリ戦では美しい弧を描くFKで移籍後初ゴールを記録したが、ビルドアップを含めてその姿は「ピルロ」を彷彿とさせる。トナーリはまるでガットゥーゾとピルロのハイブリッド。まだまだ発展途上ではあるが、攻守両面で貢献できる現代的MFのお手本のような選手へと進化していっているのだ。

開幕2戦で評価するのは早すぎるもしれないが、将来への期待が膨らむ2試合だったのは間違いないはずだ。トナーリの今後の成長と活躍に目が離せそうにない。

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