[水沼貴史]今季飛躍の伊東純也と鈴木優磨、もうベルギーはいいんじゃない?

水沼貴史の欧蹴爛漫055

水沼貴史の欧蹴爛漫055

リーグベストイレブンにも選ばれた伊東純也 photo/Getty Images

右利きの右WGを務める伊東は希少価値

水沼貴史です。白熱した欧州各国リーグの2020-21シーズンもついに幕が閉じましたね。今季の日本人選手たちの活躍はさまざまで、新たな場所を求めていった選手もいれば、元々いたところで活躍した選手もいました。これほど日本人選手が海外で活躍したり、話題にのぼったりするのは、時代だなとしみじみ感じています。私が現役のころは、海外挑戦が“当たり前”の時代ではなく、それこそ日本がW杯に出るのも難しい時代でしたからね。

さて、そんな中でも特に今季の成長が著しかった欧州の日本人選手は、ベルギーで活躍したFW伊東純也(ヘンク)とFW鈴木優磨(シント・トロイデン)でしょう。彼ら2人に共通して言えることは、目に見える結果で期待に応えてくれたことです。

まず伊東に関してですが、レギュラーシーズンでは32試合に出場して10ゴール12アシスト(プレイオフでは全6試合に出場して1ゴール4アシスト)。ゴールへの意識がより強くなってきたなと感じています。それがちゃんと数字として、結果として出たところもとても良かったと思います。ベルギーリーグをコンスタントに見ることができている方は、もしかしたら少ないかもしれません。ただ、日本に帰ってきたときに、彼の成長を感じている方も多いはずです。私も日本代表での伊東のプレイを改めて見ると、成長したなと感じることができています。

主にクラブでは左右のウイングを任されている伊東ですが、私は特に右サイドでのプレイに注目しています。なぜなら、現代サッカーにおいて、右利きの選手が右のワイドで起用されることが少なくなってきていますし、その影響もあって縦に仕掛ける選手も減ってきているからです。伊東のような選手はとても新鮮で、希少価値のある選手だと思います。それくらい今季の活躍にはインパクトがありました。

伊東は縦に仕掛ける中で、シュートに持っていくのか、クロスを上げるのか、その判断も含めて見える場所もだいぶ変わってきているのではないかと、私は感じています。見える景色が変われば、当然判断も変わってきます。今季の得点とアシストの数は、緩急をうまく使い、周囲の状況がしっかり把握できている証拠だと思います。彼のようなスピードスタータイプは“緩”のところも、他の選手に比べてそこまで遅くないです。周りから見たら、ほとんど緩めているようには見えないかもしれません。ただ、その少しのスピードダウンで彼は周りをしっかり見ることができているんだと思います。少しのスピードダウンで周りを見ることができているんだと思います。ベルギーリーグ公式による今季のベストイレブンにも選ばれていましたし、こういった日本人選手がもっと出てきて欲しいです。

そこで、みなさんが気になっているのは伊東の今後ではないでしょうか。私は正直「もうベルギーはいいんじゃない?」と思っています(笑)。個人的にはブンデスリーガなどで伊東を見てみたいですね。ベルギー国内の強豪クラブ・ブルージュなども移籍先の候補に挙がっているようですが、私は国内でのステップアップではなく、国外に挑戦して欲しいなと思っていますし、次のチャレンジをしてもいい時期だと感じています。すでにブンデスでは遠藤航がデュエル数でNo.1になれるなど、日本人選手もそういうところまで来ています。ドイツでも伊東のドリブルは通じると思いますし、右サイドを右足で縦に仕掛ける日本人がそこで躍動する、そんな姿を私は見てみたいです。遠藤や鎌田大地といったベルギーで結果を残した選手たちが、ブンデスでも活躍できるという実績もありますしね。やりやすい環境でもあると思います。

今夏の移籍先に注目が集まる鈴木優磨 photo/Getty Images

駆け引きがより研ぎ澄まされてきた優磨

そして、次に鈴木優磨に関してです。彼はアントラーズのころから、当然自分で行くこともできました。ただ、個人的にはより周りの選手に活かされる選手かなと思っています。その中で、FWとしての駆け引きの部分などが、今季はより研ぎ澄まされてきていたかなと感じています。だからこそ、今季はリーグ戦34試合に出場して17ゴール4アシストという素晴らしい数字を残せたんだと思いますよ。ゴール前での相手との駆け引きとか、どうやったら周りの選手たちからボールを引き出せるのかとか、そういうことを常に考えながらプレイする、“考える”ということをし出したんじゃないですかね。

もともとスピードも持っていますし、ゴリゴリ系のオラオラ系で、ガツガツ勝負をしにいっていた選手でした。ただ、頭を使ってより良いポジションを取りながら相手の前でプレイするだとか、逆に相手の後ろを取るだとか、そういうことを今まで以上に落ち着いてできるようになっている気がします。シント・トロイデンは今季、残念ながら15位と結果は振るいませんでした。その中で、優磨は得点ランキングの6位に入りました。これはとてもすごいことだと思います。ただ、彼のステップアップのことを考えたら、より上のレベルへ行った際に試合を決められるような選手に、そういったゴールを増やせるようになって欲しいです。ぜひとも、そこを求めていって欲しいですね。

そんな優磨は現在、トルコへの移籍の噂が大きな話題となっていますね。トルコリーグは非常に厳しいリーグでもありますが、次のステージとしては悪くはないと思います。トルコには熱狂的なファンが多いですし、そういったスタンドの熱さや環境というのは優磨にとって、もしかしたら合っているかもしれません。ただ、私は伊東と同様に優磨もブンデスリーガで見てみたいです。プレミアリーグやセリエAへの想いもあるようですが、より高いレベルを目指したり、そこを夢や目標にするのはサッカー選手として当然です。ただ、少しステップアップする段階では、ドイツは非常に良い舞台だと個人的に思っています。やっぱり環境が素晴らしいです。よりサッカーに集中できる環境が整っていると思いますし、日本人に対する評価もどんどん上がってきていますからね。

いずれにせよ、シント・トロイデンからステップアップする時期にはきていると思いますので、より厳しい環境へ行った際にコンスタントに結果を残せるのか、同じような活躍ができるのか。最低二桁のゴールを奪うだとか、そういうところに目標を設定して欲しいなとは思っています。今季覚えた駆け引きの部分で、より屈強なDFを相手にしても通用するかなど、本人もさらに高いレベルで戦ってみたいと素直に思っているかもしれません。今季の活躍でヒントは得ているはずです。

日本を飛び立ったときから、伊東と優磨の2人は確実にステップアップをしていますし、成長もしています。来季はまだどこでプレイするかはわかりませんが、伊東にはしっかりステップアップしてもらって、より結果にこだわってもっともっと怖いウインガーになって欲しいです。それを日本代表にも還元して欲しいなと思っています。一方、シント・トロイデンでこれだけ結果を残している優磨ですが、日本代表になかなか呼ばれないという現状もあります。代表に呼ばれるためには何が必要か、自分の中でもう一度考えて代表に呼ばれる、呼ばせて見せるような気概でやって欲しいです。日本を引っ張っていける2人だと思いますよ。

ではでは、また次回お会いしましょう!

水沼貴史(みずぬま たかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。YouTubeチャンネル『蹴球メガネーズ』などを通じ、幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。

記事一覧(新着順)

最新号を無料配信中!
電子マガジン「ザ・ワールド」
No.261 PSGは最強になれるのか

雑誌の詳細を見る

注目キーワード

CATEGORY:連載

注目タグ一覧

人気記事ランキング

LIFESTYLE

INFORMATION

記事アーカイブ