アンドリー・シェフチェンコやアレッサンドロ・デル・ピエロ、フランチェスコ・トッティ、ズラタン・イブラヒモビッチ、クリスティアーノ・ロナウドといったスーパースターたちのような華やかさはないかもしれない。しかし、セリエAにはその時代時代に、いぶし銀な活躍を見せるストライカーたちがいた。かつてリヴォルノで活躍したクリスティアーノ・ルカレッリやウディネーゼで活躍したアントニオ・ディ・ナターレなどが、それにあたるに違いない。なお、上記に挙げた選手たちは、いずれも得点王に輝いた経験のある選手たちで、現役時代の知名度に差はあれどその才能は折り紙付きだった。
そんな彼らと同様にセリエAの得点王経験者で、今季も奮闘している“いぶし銀ストライカー”がいる。サンプドリアに所属するファビオ・クアリアレッラだ。年齢的なこと(今年1月に38歳)もあってか、途中交代や途中出場が増え、年々1試合あたりの出場時間が減ってきてはいる。しかし、今季もリーグ戦33試合に出場していることから見ても、今もなおチームに欠かせない存在であり続けているのは間違いないだろう。チームの指揮官を務めるクラウディオ・ラニエリ監督も以前、クアリアレッラのことを「我々にとってはイブラヒモビッチのようなもの」と口にしており、いかに重要な存在であるかを強調していた。
「難しいシュートを決めるのに、簡単なシュートを決められない」と言われた時期もあったが、クアリアレッラも決して派手なプレイが多いわけではない。経験と成熟された動きで、30歳になって以降もしっかりと目に見える結果を残し、コンスタントに出場を重ねてきたストライカーだ。その結果、なんと今季最終戦となった第38節のパルマ戦(80分までプレイ)では、セリエA通算500試合出場(177ゴール50アシスト)という偉業も成し遂げている。データサイト『opta』によると、セリエAでこの偉業を成し遂げているストライカーは、同選手を含めてもたった5選手のみ。トッティ(619試合)、ロベルト・マンチーニ(541試合)、シルビオ・ピオラ(537試合)、アルベルト・ジラルディーノ(514試合)に次ぐ記録だという。また、クアリラレッラはパルマ戦で貴重な先制ゴールも奪っており、自らのゴールでこの素晴らしい記録に華を添えている。
サンプドリアとの契約は6月いっぱいまでとなっているクアリアレッラだが、今季も13ゴールを挙げ、5シーズン連続二桁得点を記録するなどまだまだやれることを証明している。もしサンプドリアとの契約を延長できなかったとしても、欲しがるクラブはまだまだあるだろう。今夏の動向にも注目だ。