“バルサ脱出”なら復活への扉は開けるか 出番なきレジスタに残された道

今夏のバルセロナ退団が噂されるピャニッチ photo/Getty Images

直近のリーグ戦10試合連続で出場ゼロ

2020-21シーズン、かつて“世界屈指のレジスタ”との評価も受けた男が、新天地で苦戦を強いられることとなっている。昨夏ユヴェントスからバルセロナに加入したボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFミラレム・ピャニッチ。ブラウグラナで彼の立場が危うい。

ASローマ時代にセリエAでの評価を上昇させ、その後移籍したユヴェントスでレジスタという新境地を開拓したピャニッチ。高いキック精度と広い視野を駆使したパス捌きで、昨季までビアンコネリの中盤を支配していた。しかし、活躍の場をスペインに移した今季、同選手はなかなか出場機会に恵まれない。バルサの中盤でも質の高いパスを量産すると期待をかけられていたものの、新天地におけるここまでの公式戦1試合平均出場時間はわずか35.24分(17試合599分)。加えて、直近のリーガ・エスパニョーラ10試合ではただの1分たりともピッチ上でプレイすることができていない。

バルサにとって、財政健全化のために実行したMFアルトゥール・メロとのトレードだったことは理解できる。しかし、それでもセリエAで実力派MFと鳴らしていた男が、これほど試合に絡めないのは多くの人にとって予想外だったことだろう。ましてや、ピャニッチはバルサのパスワークにも耐えうるだけのボールテクニックを備えたテクニシャン。もう31歳とはいえ、さすがにここまで出番がないのは驚きだ。
そんなピャニッチは、たった1年でスペインを去ることとなってしまうのか。伊『Corriere dello Sport』によると、バルセロナはサッスオーロに所属するMFマヌエル・ロカテッリの獲得に興味を持っており、その資金捻出のためにピャニッチを現金化したい考えを持っているとのこと。現時点では古巣ユヴェントスやインテルが移籍先候補の筆頭格として挙がっており、1年でのイタリア復帰が現実味を帯びてきているという。

ピャニッチのキャリアにとっても、セリエAへの帰還は悪い選択肢ではないはずだ。バルセロナで若い中盤の選手が躍動している以上、このまま残留してもチャンスがあるとは考えづらいのが現状だ。それならば、慣れ親しんだリーグで再起を図るほうが賢明だろう。試行回数こそ少ないが、今季のパス成功率も91.53%(720本中659本成功)とハイレベル。出場機会さえ手に入れれば、まだ活躍できる可能性は残されているかもしれない。

バルセロナで苦しい時間を過ごすこととなってしまったピャニッチだが、彼が再びピッチ上で輝く日は訪れるのだろうか。長短織り交ぜたパス捌きでチームのリズムを作るレジスタの復活を、多くの人が待ち望んでいる。

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