サイドバックが前線で司令塔となる新時代 DFにコンバートされた元MFの戦い方

サイドバックとして成長を続けているジンチェンコ photo/Getty Images

後半からチームは瞬く間に逆転

ジョゼップ・グアルディオラ就任以降守備陣の能力不足が問題視されていたマンチェスター・シティ。それでも、今季はルベン・ディアスの加入やジョン・ストーンズの復調もあり、センターバックは盤石となった。右サイドバックもカイル・ウォーカーが抜群の安定感を見せており、残すは左サイドバックのみとなっていたが、オレクサンドル・ジンチェンコがチャンピオンズリーグの大舞台で素晴らしいパフォーマンスを披露した。

この試合ベンチスタートとなったジンチェンコは後半61分からピッチに投入されると安定感のある組み立てを披露し、パリ・サンジェルマンの早いプレスを回避して見せる。その後も左サイドで幅を取ってフィル・フォデンとケビン・デ・ブライネと共に攻撃に貢献していた。また、守備でも冷静な対応を見せており、2回のタックル成功を記録している。

先発で左サイドバックを担当していたジョアン・カンセロも悪くはなかったが、イエローカードを貰っていたこともあっての交代だろう。それでもこの交代策は非常に効いていたと考えられる。カンセロは中央にポジションを取ってインサイドハーフのように振舞うプレイを得意としているが、左ウイングを務めていたフィル・フォデンも中央でポジションを取っていたためプレイエリアが被ってしまっていた。

後半からの投入となったジンチェンコは左サイドで幅を取ってプレイするため、プレイエリアの重複がなくスムーズに攻撃を行えていた。ジンチェンコの特長である左足からの高精度のパスと元々攻撃的MFであるためチャンスメイクも行える幅の広いプレイスキルが組み合わさり、前線で新しく起点になれるジンチェンコの投入はパリにとって更に厳しくなった要因だろう。また、ジンチェンコはカンセロに比べて不用意なボールロストが少ないところも魅力の一つと言える。

その後も攻守に厚みを生み出して勝利に貢献したジンチェンコ。この大一番での成功体験は今以上に自信を付けさせるものになるだろう(データは『WhoScored.com』より)。

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