プレミアリーグで長きにわたり強豪クラブとして君臨し、イングランドのサッカーを引っ張ってきたアーセナル。ティエリ・アンリやパトリック・ヴィエラなどの名手を擁し、知将アーセン・ヴェンゲルが率いた2000年代はマンチェスター・ユナイテッドとともに優勝を争う常連だった。
そんな名門だが、マンチェスター・シティやリヴァプールに主役の座を明け渡すなど近年は低迷している。2018年に22年間チームを率いたヴェンゲルが監督を退任しウナイ・エメリに引き継がれたが、立て直すことはできず解任。2019年の12月にクラブのOBでもあるミケル・アルテタにチームの再建を委ねることになった。
マンCではジョゼップ・グアルディオラのもとでコーチを務めるなど期待が寄せられての監督就任となったアルテタ。昨季のFAカップと今季のコミュニティシールドのタイトルは獲得したものの、8位に終わった昨シーズンに引き続き今シーズンのプレミアリーグもここまで暫定で10位と、アーセナルを立て直せているとはいい難い。
それでも、エミール・スミス・ロウやブカヨ・サカ、キーラン・ティアニーなど若手中心にシフトした今季中盤以降のチームは、クラブの未来を感じさせる瞬間もある。しかし、輝きを放ったかと思えば格下相手に取りこぼす試合もあるなど、年間を通して安定性に欠けることがいまの順位に反映されている。
かつて優勝を争っていたマンCやマンU、チェルシーといったチームは世界を代表するタレント自チームに招き入れ強化を図っている。また近年ではレスター・シティがビッグ6の牙城を崩すべく上位争いに毎年のように顔を出し、今季はウェストハムのような伏兵が現れチャンピオンズリーグ出場争いは混沌としている。
そんななか、直近のエヴァートン戦でもホームで敗れるなどアーセナルは不安定な戦いを続けている。このままでは、プレミアリーグでは12位に終わった1994-95シーズン以来26年ぶりとなる二桁順位で終わる可能性が大いにある。来季につなげるためにも残りのシーズンの戦いは1試合も無駄にはできないだろう。
近年は苦しいシーズンを過ごし、プレミアリーグを支えてきた名門の座が揺らぎつつあるアーセナル。アルテタ率いるチームがこの流れを変え、新たなサイクルを築けるのか。残りのシーズンで、何らかの答えを出さなければならない。