久保が古巣相手にみせた成長の兆し 左サイドで奮闘した90分

古巣バルセロナ相手にチャンスをつくった久保 photo/Getty Images

バルセロナ戦で2得点に絡む働き

リーガ・エスパニョーラ第31節は現地時間4月22日にバルセロナとヘタフェが対戦した。この試合に先発し、今季初めてリーグ戦でフル出場をはたしたのが久保建英である。

自身が育ったバルセロナ相手に、2試合ぶりにスタメンに名を連ねた久保が配置されたのは左サイド。これまで右サイドやトップ下でのプレイを得意としてきた日本代表MFにとってビジャレアル時代から課題とされてきたのが左サイドでの仕事ぶり。前所属先の指揮官であったウナイ・エメリも久保をこのポジションで試すなど、左への適応はひとつの壁として立ちはだかってきた。

そんななかこの試合ではバルセロナ相手に圧倒的にボールを支配され、守勢に回る時間が大半を占めるなかで、ヘタフェの攻撃の拠り所となったのが久保の左サイドだった。背番号5は守備のタスクをしっかりとこなした上で、ドリブル突破やパスワークで特長をみせるなど古巣相手に存在感を示す。
前半12分には久保が左サイドでタメを作りDFを引きつけると、マルク・ククレジャのクロスがクレマン・ラングレのOGを誘発。その後も攻撃時に対峙したオスカル・ミンゲサ相手にドリブルで積極的に挑むなど、ヘタフェのなかでそのメンタリティの強さとプレイのクオリティをバルセロナ相手にも出す。

さらに後半21分には激しいボディコンタクトでフランシス・トリンコンからボールを奪取した久保が左サイドから鋭いクロスを供給。反応したエネス・ユナルがバルセロナDFのファウルを受けPK判定に。守備から攻撃への素早い切り替えと鋭いラストパスでチームの2点目を生む起点となった。

結局試合はリオネル・メッシに2ゴールを許すなど2-5で大敗したものの、久保自身はビジャレアル、ヘタフェを通じて今季初となるリーグ戦でのフル出場。プレイ時間をしっかり与えられたなかバルセロナ相手にみせた日本代表MFの左サイドでのパフォーマンスは、今後につながるポジティブなものだったといえるのではないか。

残留争いにおかれているヘタフェにとっても攻撃面で周りを活かす術に長けた久保の技術はチーム内でも随一。またバルセロナ相手に守備面でも及第点以上の働きをみせたといえるこの試合を経て、指揮官のホセ・ボルダラスがこの日本のタレントをどう扱っていくのかはひとつのカギを握るだろう。

古巣のバルセロナ相手に左サイドでヘタフェの攻撃を引っ張る働きをみせた久保。苦しいシーズンを過ごしてきた今季において、奮闘をみせたこの試合がひとつのターニングポイントとなっていくのだろうか。

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