水沼貴史です。レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が、イングランド、スペイン、イタリアのビッグクラブを中心とする欧州スーパーリーグの設立を突然発表したことで、サッカー界に動揺が走りましたね。スーパーリーグに名を連ねていたレアル、マンチェスター・シティ、チェルシーの3クラブが、UEFAからの制裁で今季のチャンピオンズリーグから除外されるといった話も浮上しましたが、スーパーリーグ構想が立ち消えになったことで、とりあえず来週に予定されているチャンピオンズリーグの準決勝は行われそうです。私としてはビッグクラブも中堅クラブも同じ舞台で実力をぶつけ合い、それによって今後も数多くのドラマが生まれることを願うばかりです。
さて、今回はチャンピオンズリーグ準決勝、パリ・サンジェルマン(PSG)対マンチェスター・シティの1stレグの見どころをお話しします。両チームの戦い方の特長を踏まえつつ、試合の行方を左右しそうなポイントを絞ってみましたので、ぜひ観戦のお供にして下さい。
準々決勝でバイエルン・ミュンヘンと対戦したPSGは、2ndレグであえて自陣にリトリートし、カウンターで相手ゴールを脅かしました。守備隊形は[4-4-2]で、俊足のネイマールとキリアン・ムバッペが前線に残る形でしたが、この2人が執拗に最終ラインの背後を狙い、何度も決定機を迎えていたので、バイエルンにとってPSGのカウンターは恐るべきものだったはずです。
今年1月からPSGを率いているマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、対戦相手の出方や予想される試合展開に応じ、ポゼッションとカウンターを使い分けるタイプの指揮官です。マンCはポゼッション型のチームですので、来週の準決勝1stレグでもバイエルン戦と同じく[4-4-2]の布陣でリトリートし、カウンターで得点を狙うという戦い方を選手たちにさせるのではないでしょうか。
PSGのカウンターが強力であることを踏まえると、マンCを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督の最終ラインの人選が、この試合の鍵を握りそうですね。ドルトムントとの準々決勝2ndレグでは左サイドバックにオレクサンドル・ジンチェンコが起用されましたが、PSG戦で彼がこのポジションを務めた場合、ネイマールやムバッペ、そして右サイドハーフのアンヘル・ディ・マリアとのスピード勝負に敗れてしまう可能性があります。バンジャマン・メンディはジンチェンコよりも速く走れますが、今季のプレミアリーグで先発出場が僅か9試合、チャンピオンズリーグでも先発が1試合に留まっているので、試合勘に不安ありです。
ジンチェンコよりもスピード勝負で計算が立つジョアン・カンセロを左サイドバック、同じく快足が持ち味のカイル・ウォーカーを右サイドバックに置いてPSGのカウンターに備えるのが得策だと私は思いますが、グアルディオラ監督はどう考えるのか。当日のスターティングラインナップが楽しみです。