2020-21シーズン、昨季王者という立場ながらイングランド・プレミアリーグで苦戦を強いられているリヴァプール。ここまで29試合を終えて7位という成績は、開幕前に誰も予想していなかったことだろう。
そんな苦しい状況が続くリヴァプールだが、彼らはこの嫌な流れを断ち切ることができるだろうか。直近のリーグ戦10試合における戦績は4勝6敗。前節ウォルバーハンプトン戦にこそ勝利したが、このペースが続くようであればトップ4入りは難しいと言わざるを得ない。そういった状況において、チームの精神的支柱であるMFジョーダン・ヘンダーソンを負傷で欠いているのも彼らにとっては向かい風だ。
しかし、そんなリヴァプールで24歳のセンターバックは救世主となれるかもしれない。そのセンターバックとは、今季負傷者が続出した同クラブで必死に最終ラインを支えているナサニエル・フィリップスだ。
当初はあくまでもフィルジル・ファン・ダイクやジョー・ゴメス、ジョエル・マティプといった主力CBの代役としてしか認識されていなかったフィリップス。だが、ここ数試合における彼は闘志を前面に出した熱いプレイでチームを盛り立てる存在となりつつある。190cmの長身を活かした空中戦の強さを武器に、以前よりも逞しい選手となったことは間違いない。守備陣に離脱者が続出したリヴァプールだが、フィリップスが独り立ちしつつあるのはポジティブな要素といえるだろう。ヘンダーソン不在の状況ではあるものの、気持ちでチームを引っ張る選手が新たに出てきたのは大きい。
「ナサニエルのプレイからは決意やリスペクトといったものを感じ取ることができる。それでいて、ライオンのような心も持ち合わせているんだ。もし私がジャングルに放り出されるとしたら、一緒に連れていく選手としてまずナサニエルとミリー(ジェイムズ・ミルナー)を選ぶよ」(英『Daily Mirror』より)
リヴァプールのアシスタントコーチを務めるペップ・リンダース氏も、闘志あふれるフィリップスをこのように評価している。2020-21シーズンはなかなか調子の上がってこないリヴァプールだが、そんな雰囲気を変えるのはこの男か。離脱組復帰以降に自身の居場所を確保するためにも、フィリップスの奮闘には期待したいところだ。