スタメン落ちの絶望から這い上がった男 インテル守備陣に欠かせぬ25歳

昨季とは打って変わって、今季は定位置をガッチリと掴んでいるシュクリニアル photo/Getty Images

昨夏には放出の噂も

昨季こそアントニオ・コンテ監督の志向する3バックシステムへの対応に苦慮することとなったものの、インテルのディフェンスリーダーが苦しかった時間を乗り越え再びチームの中心に返り咲いている。そのディフェンスリーダーとはスロバキア代表DFミラン・シュクリニアル(25)だ。適応までには少し時間を要することとなったが、今季のインテルにおいて同選手は再び重要な存在となっている。

昨夏の時点では、他クラブへ放出される可能性も現地メディアによって報じられていたシュクリニアル。しかし、この25歳は決してインテルでの定位置再奪取を諦めなかった。開幕直後こそ新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことによって数試合の離脱を余儀なくされたが、復帰以降は安定した出場機会を獲得。見事にセンターバックのファーストチョイスとして返り咲きを果たしている。

そして、シュクリニアルはただレギュラーに返り咲いただけではない。ここまで出場したリーグ戦22試合では、チームDFトップの地上戦勝回数(42回)やタックル数(24回)を記録。こういった面でも、シュクリニアルがいかにネッラズーリの最終ラインにとって重要な存在であるかは見て取れるだろう。ただの消去法ではなく、きちんと3バックに対応したうえでこのスロバキア代表DFは以前の地位を取り戻したのだ。
「昨季は少し苦い経験をすることになったけど、僕くらいの年齢ならばそれを肌で感じるのも重要だ。良い勉強になったよ。そして、その時間が僕のキャリアを破壊しなかったことも嬉しく思う。正直、昨季いきなり自分の状況が変わったことには驚いたけどね。バストーニとデ・フライと僕が組む3バックは今後もうまくハマると思うよ。失点数は昨季より少し多いけど、それ以上に攻撃での恩恵が大きい。少しくらい失点が多くても、しっかりと得点を奪うことができれば問題ないさ」(伊『Gazzetta dello Sport』より)

昨季の苦しかった時間を振り返りつつも、シュクリニアルはこのようにコンテ監督の攻撃的なスタイルに慣れたことを実感させるコメントを残している。一度スタメン落ちという絶望を経験するも、己の力でもう一度這い上がってきたシュクリニアル。パワフルかつ、冷静な対応で次々と相手のチャンスの芽を摘む守備職人の復活をコンテ監督もさぞ喜んでいることだろう。雌伏のときを経て3バックにも完璧に対応したディフェンスリーダーが、インテルのスクデット獲得に向けた最後のピースとして今季セリエAで奮闘を見せている。

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