今のアトレティコは2013-14シーズンより強い? “リーガ2強”の実力が落ちたのか

首位を走るアトレティコ photo/Getty Images

攻撃力は当時のアトレティコが上

今季のアトレティコ・マドリードはこのままリーガ・エスパニョーラを制してしまうのだろうか。先日は難敵セビージャをも華麗に2-0で撃破しており、安定感が増してきている。2位のレアル・マドリードとは消化試合が2試合少ないにも関わらず、勝ち点差は4に広がった。このまま逃げ切ることも可能だ。

リーグ戦16試合を消化して6失点と抜群の堅守を誇る今季のアトレティコは強い。前線にはFWルイス・スアレスも加わり、攻撃と守備の両面で穴が無い印象だ。では、今のアトレティコは最後に優勝した2013-14シーズンのチームをも上回る強さなのだろうか。

答えは微妙なところだ。今季のアトレティコが強いのは間違いないが、それ以上にレアルとバルセロナの調子の悪さが響いている。2013-14シーズンと比較してみると、実は当時の方がアトレティコの成績は優れている。
今季のアトレティコは16試合消化時点で13勝2分1敗だが、当時は14勝1分1敗。失点数は当時が9失点となっているため、今季の方が少ない。しかし、得点数は今季現時点で31得点なのに対して当時は43得点。こちらは大きな差がついている。

理由はFWジエゴ・コスタの存在だ。今季はスアレスがリーグ戦でチームトップとなる9得点を挙げているが、当時のジエゴ・コスタは開幕から16試合で17得点を挙げていた。最終的には27得点でフィニッシュしており、当時のジエゴ・コスタはアトレティコの歴史に残る活躍ぶりだった。

単純に勝ち点と得点数で判断するなら、当時のアトレティコの方が強いと考えることもできる。それでも現在首位に立てているのは、やはりバルセロナとレアルに元気がないからだ。

バルセロナもまだ手探り photo/Getty Images

リーガ2強の実力低下を感じるシーズンに

現在3位のバルセロナは18試合を消化し、10勝4分4敗。2位のレアルは同じ18試合消化で11勝4分3敗だ。当時はバルセロナが16勝1分1敗、レアルが14勝2分2敗となっていたため、今季は明らかによくない。

得失点も差がある。今季のバルセロナはここまで37得点17失点の成績だが、当時は52得点12失点。レアルの方はここまで30得点15失点となっているが、当時は52得点21失点だ。この約7年ほどの間で攻撃力は両チームともガクリと落ちた。今季のアトレティコは強いが、当時のバルセロナとレアルなら問題なく上回ることが出来ていたのではないか。

アトレティコがこのままリーグ制覇を果たせば、2013-14シーズン以来の優勝として大きく盛り上がるだろう。その一方で、リーガ2強と言われ続けてきたバルセロナとレアルの実力低下を改めて実感することにもなってしまう。時代にはいつか終わりがくるものだが、今季はそれを象徴するようなシーズンだ。

近いうちにFWリオネル・メッシがバルセロナを去れば、さらにバルセロナの攻撃力は低下するだろう。すでにクリスティアーノ・ロナウドがいなくなったレアルもそうだが、何か大きな補強に動かなければ大幅な攻撃力アップは難しい。

以前のようなド派手な攻撃サッカーがリーガから消え、シメオネの堅実なアトレティコ流がリーガを支配するような時代になるかもしれない。アトレティコがリーガ2強に挑むシナリオは常に魅力的だが、2013-14シーズンの頃の盛り上がりとは大きく違う。むしろリーガ2強の実力低下を寂しく感じるシーズンとなっているのではないだろうか。

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