驚愕のロスト数“38回”はなぜ起きた A・アーノルドが過ごす苦悩の時間

サウサンプトン戦では苦しいパフォーマンスに終始したA・アーノルド photo/Getty Images

原因は本人の問題だけでない?

昨季までは世界最高のサイドバック候補筆頭とも目されていた22歳は、一体どうしてしまったのだろうか。リヴァプールのイングランド代表DFトレント・アレクサンダー・アーノルドにとって、今季は悪夢のようなシーズンとなってしまっている。

昨季までは各方面からSBとして世界トップクラスの評価を得ていたA・アーノルド。しかし、今の彼にその面影はほとんど見られないと言っていい。2020-21シーズン、どうにも若きSBの調子は安定しない。攻守ともに精彩を欠く試合は散見され、そのパフォーマンスには波がある。現地時間4日に行われた第17節サウサンプトン戦では、今季プレミアリーグでプレイした全選手中最多となる38回ものボールロストを記録することとなってしまった。

ボールテクニックに優れたSBというスタイルを確立したはずのA・アーノルドだが、現時点で彼のキックに対する安心感は以前のレベルほどないと言っていいのかもしれない。現在、彼の一貫性が欠如していることはリヴァプールにとって大きな問題だ。しかし、どうしてA・アーノルドはここまで大きく調子を崩すことになってしまったのか。
大きな要因として考えられるのは、主力センターバックの相次ぐ負傷離脱だ。サウサンプトン戦のリヴァプールはフィルジル・ファン・ダイクやジョー・ゴメス、ジョエル・マティプを欠くなかで、同ポジションどちらもMFを本職とするファビーニョとジョーダン・ヘンダーソンを起用。2020-21シーズンにリヴァプールが戦った公式戦にて、このコンビは実に14パターン目の組み合わせだ。最終ラインで連携を取る選手がここまで目まぐるしく変わったことは、A・アーノルドにも決して小さくない影響を与えたことだろう。最終ラインに不慣れな選手がいるなかで、自分が前線にボールを入れなければと焦った可能性は十分に考えられる。

もちろん彼自身の調子が悪かったことは否定できないが、そんな状況でもA・アーノルドが球出しをせざるを得ない状況になってしまったのは今のチーム状態を表しているとも言える。サウサンプトンの強烈なプレッシャーに晒されながらボールを受けるシーンも散見され、彼にとって難しい状況は少なくなかった。そういった中で積み重なってしまったロスト数が、今回の異様な記録に繋がってしまったか。A・アーノルド自身が今回のパフォーマンスを反省しなければいけないのは間違いないものの、リヴァプールで負傷者続出の影響を最も被っているのはこの22歳なのかもしれない。

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