20本シュート打って“2ゴール”のみ ブラジルの神童FWはシュートを磨くべし

期待を背負ってレアルへ加入したヴィニシウス photo/Getty Images

次のレベルへ進むための課題

レアル・マドリードの左ウイングで不動の1番手となる日はくるのだろうか。20歳のFWヴィニシウス・ジュニオールには大きな課題がある。

今季もリーグ戦でチーム5位となる16回のドリブルを成功させるなど、ブラジル仕込みのドリブルはリーガ・エスパニョーラでも十分に通用している。左サイドから仕掛けるドリブルは迫力もあり、本人も自信を持っているのだろう。

しかし、問題はその突破力がゴールへ繋がるのかどうかだ。昨季はリーグ戦で3得点しか挙げられなかったが、今季もあまりペースは変わっていない。ここまで15試合に出場して2得点に留まっており、もう一段上のアタッカーになるためには得点力を上げるのが課題だ。そう簡単に達成できるミッションではないが、それが出来なければワールドクラスのアタッカーにはなれない。レアルでも1番手にはなれないだろう。
まずはシュート精度を上げていきたい。今季のヴィニシウスはリーグ戦で20本のシュートを打っているが、枠内に飛んだのは6本のみ。10本は枠の外へ飛んでいき、4本はブロックされている。計算上は1点奪うのに10本のシュートが必要ということになり、あまり得点が期待できるアタッカーとは言えない。左サイドからカットインする形を磨き上げ、元バイエルンのアリエン・ロッベンやフランク・リベリのように必殺技を作りたいところ。

同じ20歳のアタッカーでは、ドルトムントFWジェイドン・サンチョとの比較が興味深い。サンチョも今季はあまり調子が良くないが、昨季はブンデスリーガで17得点を奪った。その際の内訳を見ると、サンチョは52本のシュートで17得点奪っている。つまり1点奪うのに約3本のシュートが必要だったことになる。52本中28本が枠内に飛んでおり、ここまで精度が上がれば自ずと得点数は増えていく。

ヴィニシウスもサンチョも同じ2000年生まれのアタッカーだが、昨季の成績を考えるとサンチョの方が完成度は高いだろう。銀河系軍団レアルで居場所を確保していくためには、同世代のアタッカーに負けているわけにはいかない。

果たしてヴィニシウスはこの課題を1~2シーズン以内にクリアできるだろうか。仮にパリ・サンジェルマンのキリアン・ムバッペ、ドルトムントFWアーリング・ハーランドらが加入した場合、今のヴィニシウスの実力では居場所を確保できないだろう。ブラジルのフラメンゴから加入した時には大きな話題を呼んだが、その期待に見合うプレイヤーになれるのか。同じブラジルの先輩FWネイマールと比較しても得点力は明らかに不足しており、この明確な課題をクリア出来るかがヴィニシウスのキャリアを左右する。(データは『WhoScored.com』より)

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