[MIXゾーン]天皇杯決勝 スタイルを貫いた川崎と、スタイルを変えて挑んだG大阪

三笘薫のゴールによって、またも川崎にタイトルがもたらされた photo/Getty Images

1点差決着も、チームの完成度にそれ以上の差あり

2021年1月1日に第100回天皇杯決勝が開催され、川崎が1-0でG大阪を下し、日本一となった。僅差での決着となったが、川崎がすでに構築されている自分たちのスタイルを貫いて攻撃的に戦ったのに対して、G大阪は3バックでスタートし守備的に受けるカタチとなった。Jリーグ1位と2位の対戦だったが、そこには埋められない明らかな差が存在した。

「守備を意識しつつ、ボールを奪ったら速く攻める。自分たちでボールを持つ時間を作りながら攻める。2つをイメージしたなかでプランは作っていました。そして、勝負どころではシステムも含めて攻撃的にいき、自分たちの時間を作るというイメージでした」

これはG大阪の宮本恒靖監督の試合後コメントで、選択されたのは[3-4-2-1]でまずは守備に比重が置かれていた。攻撃はパトリックを前線に、宇佐美貴史、倉田秋の2シャドーでカウンターからゴールを狙うもの。ポゼッションサッカー、後方からビルドアップして攻撃を組み立てる本来のG大阪のサッカーではなかったが、Jリーグを最多勝点&最多得点で制した相手との対戦であり、1発勝負であることを考えれば十分に理解できた。

ただ、現時点では力及ばなかった。数年をかけてスタイルを構築してきた川崎の完成度に押され、前半こそ相手のシュートミスに助けられて0-0で折り返したが、後半になって55分に一瞬のスキを突かれて三笘薫にゴールを許した。1点ビハインドとなってその後に選手交代、システム変更によって必死に反撃したが、それは川崎1-0G大阪というスコアが生み出した展開だった。

「後半の15~20分ぐらいまで耐えてカウンターというところしかありませんでした。それがいまの自分たちの実力で、フロンターレが上回ったところなので真摯に受け止めたいです」(東口順昭)

この日、G大阪は公式記録上で7本のシュートを放ち、手元の計算では3度の決定機を作り出している。ただ、その多くが1点を追いかける展開になってからで、後付けによるものが多かった。一方、川崎は27本のシュートを放ち、約8回の決定機を作り出している。サッカーは決定機の数、シュート数を競うものではなく、とくに一発勝負ではスコア以外のこうした数字は意味を持たないが、G大阪が本来やりたいのはポゼッション率を高めて主導権を握るサッカーで、受け身で戦わなければならなかった時点でチームの完成度に埋めがたい差があった。

「自分たちらしいサッカーが確立されているかどうかが大事。フロンターレには確立されたスタイルがあります。一発勝負なので今年やってきたことを全面に出して粘り強く戦うというのがありましたが、押し込まれるとやはり厳しいです。とくにリーグ戦を考えると自分たちのスタイルがあるかどうかが大事なので、この経験を来シーズンに生かしたいです」(三浦弦太)

1点差決着であり、終了間際にG大阪が反撃したことで僅差の攻防だったと考えてしまいがちだが、チームの完成度という視点でみればスコア以上の差があった。実際に戦った選手はもちろん、監督もそのあたりは実感している。Jリーグ2位のG大阪が勝つために最善の手段を講じて戦っても、耐えることができなかった。

「守備で失点をしない。攻撃ももっと高めないといけない。球際のうまさも今日に関しては相手に分がありました。もう一段階、二段階高いものを作りあげないと、(川崎を)超えるところにはつながっていきません。来シーズンに向けて、そういった部分をレベルアップさせなければならないと感じました」(宮本恒靖監督)

ある意味、波乱のない結果で終わってよかったのかもしれない。各チームが切磋琢磨し、打倒・川崎を目指す。2021シーズンもまた、これがテーマになる。

文/飯塚 健司

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