ハーランドに続くのは誰だ? CLグループリーグで輝きを放った今注目すべき若手選手5名

レンタル先のライプツィヒで違いを見せつける超攻撃型SBアンヘリーニョ photo/Getty Images

CLは選手にとって“品評会”でもある

10月20日に開幕したUEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)の2020-21シーズン大会もグループリーグ(以下GL)の全試合が消化され、ついに欧州のTOP16クラブが出そろった。思わぬ苦戦を強いられたクラブがあったり、インテルやマンチェスター・ユナイテッドが姿を消すこととなったりもしたが、今季のGLは“ほぼ順当”と言っていいだろう。前大会覇者バイエルン・ミュンヘンをはじめ、リヴァプールやパリ・サンジェルマン、レアル・マドリード、ユヴェントスなど、各国の強豪たちが決勝トーナメントへとコマを進めている。

CLはクラブコンペティションにおいて、世界最高峰の舞台と言っても過言ではない。それと同時に、選手個人にとっては最大の“品評会”でもある。特に若手選手にとっては貴重な場で、CLでの活躍によりさらなるビッグクラブへステップアップする選手も少なくない。近年で言えば、2016-17シーズンのFWキリアン・ムバッペ(モナコ→PSG)、昨季のFWアーリング・ハーランド(ザルツブルク→ドルトムント)などが思い浮かぶだろう。今年1月にザルツブルクから当時欧州王者だったリヴァプールへ移籍した日本代表FW南野拓実も、“CLドリーム”を手にした選手の一人だ。

そこで、今大会のGLで存在感を放ち、今後のステップアップが期待される若手(23歳以下)の中から今注目すべき5名をピックアップ。選手の特徴やGLでのデータ等をもとに紹介していこう。

1.DFアンヘリーニョ(ライプツィヒ/スペイン)


マンチェスター・シティからレンタルで加入中の23歳。左サイドを主戦場とし、チームのシステムに合わせてサイドバック(SB)やウイングバック(WB)をこなす。守備にはまだまだ改善点はあるものの、攻撃センスはピカイチ。精度の高いキックやタイミング抜群の攻撃参加で、GLでは3ゴール3アシストを記録している超攻撃型SBだ。ブンデスリーガでもここまで10試合に出場して4ゴール2アシストを記録しており、守備者ながらチームで今季最も得点に絡んでいる選手となっている。

ライプツィヒとのレンタル契約は今季までとなっているが、契約内容には出場数に応じた買取オプションが組み込まれており、このまま何事もなければひとまず完全移籍が濃厚だ。ただ、英『Manchester Evening News』などによると、マンC側も買い戻し条項を保有している模様。そのため、来季以降はこの2クラブのどちらかでプレイするのが有力だが、すでに他のビッグクラブからの関心もちらほら聞こえている。今後の活躍次第では、来夏の移籍市場での争奪戦は必至かもしれない。

欧州のビッグクラブが注目を寄せるショボスライ photo/Getty Images

2.MFドミニク・ショボスライ(ザルツブルク/ハンガリー)


現在多くのビッグクラブが注目を寄せ、早くも争奪戦が繰り広げられているハンガリーの至宝だ。2000年生まれの20歳ながら、欧州最高峰の舞台で堂々たるプレイを披露。左サイドMFとして全試合に出場しており、GL第2節のアトレティコ・マドリード戦では欧州屈指の堅守からゴールも奪った。そして、特筆すべきはそのパス能力。リオネル・メッシ(16本)、ブルーノ・フェルナンデス(15本)らに続いて、GL全体で4位タイとなる14本ものキーパスを記録しており、攻撃面で違いを生み出している。そのため、以前からレアル・マドリードのトニ・クロースなどと比較されることも多い。

同選手の代理人はすでに、メディアの前で2021年のステップアップを示唆。加えて、チームはすでに今季の欧州コンペティションからの敗退が決まっているため、昨季のハーランドや南野のように冬の移籍市場で移籍先を探す可能性も十分あるだろう。現時点でアーセナル、ミラン、レアル、バイエルンなどが新天地の有力候補に上がっている。

フランスの将来を担うと期待の若手DFカマラ photo/Getty Images

3.DFブバカル・カマラ(マルセイユ/フランス)



フランス代表の各年代でプレイし、同国の将来を担うと期待の若手のひとりだ。これまではセンターバックを主戦場とするも、ボール奪取や危険察知の能力に加えて、足元の技術やビルドアップにも長けているため、今季は主に一列前となるダブルボランチの一角やアンカーとして活躍。先日21歳の誕生日を迎えたばかりだが、マンC戦ではケビン・デ・ブライネやラヒーム・スターリングなどに対しても物怖じしないプレイを披露していた。

チームはGL敗退を喫することとなってしまったが、自身初のCLの舞台で得たものは多いだろう。今回の経験は、今後の成長をさらに加速させるに違いない。今夏の移籍市場でもマンCなどが興味を示しており、今後のステップアップは必至だが、どんなキャリアを築いていくのか注目だ。

アタランタの守備を牽引する武闘派DFロメロ photo/Getty Images

4.DFクリスティアン・ロメロ(アタランタ/アルゼンチン)


2018年に母国を離れ、守備大国イタリアで今注目を集めている22歳の若手DF。昨夏にユヴェントスが獲得し、今季はレンタルでアタランタへ加入している(レンタル期間は2022年6月まで)。鋭いタックルが武器で、ジェノア時代の2シーズンでは公式戦60試合に出場してイエローカード26枚、レッドカード3枚(うち2枚は警告2回で退場)をもらうなど少々荒っぽいプレイも目立ったが、闘志あふれるプレイや身体を張ったプレイは多くのファンを沸かせる。身長185センチと、センターバックとしては目立って大きいわけではないが、空中戦も得意。GLでは33回もの空中戦勝利数を記録しており、これは今大会で3番目に多い数字だ。

ここまで今回が“初のCL”とは思えないデキを見せているロメロ。アタランタが買取オプションを保有しているが、決勝トーナメントの活躍次第では、様々なビッグクラブが同選手の獲得に立候補するかもしれない。

得意のドリブルでレアルの守備陣を翻弄したソロモン(右)photo/Getty Images

5.FWマノル・ソロモン(シャフタール/イスラエル)


今回のGLで最も衝撃を与えた若手と言っても過言ではないのがこの選手。グループB3位で終わり、チームは惜しくもヨーロッパリーグへ回ることとなってしまったが、レアル戦ではホーム&アウェイでゴールを決めるなどダブル達成に大きく貢献した。ドリブルが武器のウインガーで、GLでは16回ものドリブル成功数を記録(今大会6位)。ドリブル成功率にすると、なんと80%だ。成功数23回で今大会1位のメッシ(64%)や同21回で2位のネイマール(55%)、同17回で4位のキリアン・ムバッペ(63%)らよりもはるかに高い成功率となっている。

戦いの舞台を欧州へ移してからまだ2年しか経っていないため、まだまだ未知数なところが多いが、年齢も21歳と将来のポテンシャルは非常に高い。今大会の活躍により、シャフタールで輝き放つ新進気鋭のドリブラーは、今後のマーケットにおいて注目株となるかもしれない。

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