マルティネッリはアーセナルの希望となるか “クロス戦術”にもフィットする19歳の復帰

U-21カテゴリの試合で復帰を果たしたマルティネッリ photo/Getty Images

昨季ブレイクした新鋭FWが復帰

2020-21シーズンにイングランド・プレミアリーグで苦戦を強いられているアーセナルに、救世主となれる存在はいるか。新加入のDFガブリエウ・マガリャンイス、MFトーマス・パルティ、FWウィリアン……。今夏移籍市場で何人か実力者を補強した同クラブだが、彼らが試合に出ていても事態は悪化の一途を辿っている。

その大きな原因となっているのが、深刻な攻撃力不足だ。今季ここまで、同クラブがプレミアで記録した得点数はわずかに「10」。これはリーグ17位の成績で、なんとエヴァートンのFWドミニク・カルバート・ルーウィンの個人得点数(11ゴール)よりも少ない。まさか昨季まで攻撃自慢だったガナーズがこんな事態に陥るとは……。一体どれほどの人が想像できただろうか。

では一体、なぜアーセナルの攻撃力はここまで低下してしまったのか。最大の要因として考えられるのは、かねてより問題視されている“クロスマシーン化”問題だ。今季のアーセナルはとにかくサイドからのクロスに希望が見えない。先日行われたトッテナムとの大一番では、44本のクロスを上げながらも味方につながったのはわずか9本。明確なターゲットマンがいないにもかかわらず、ただ単調なクロスを供給し続けていた印象は強い。
しかし、そんなアーセナルに頼もしい男が帰ってくる。昨季18歳ながら公式戦26試合で10ゴール4アシストを記録して、ブレイクを果たしたFWガブリエウ・マルティネッリ(19)だ。今年6月のトレーニング中に膝を負傷して以降、長期離脱が続いていた同選手だが、現地時間8日に行われたU-21チームのウィンブルドン戦に途中出場。約半年ぶりにピッチへ帰ってきた。

この19歳が復帰となれば、これまで“無駄打ち”に近かったアーセナルのクロスも活きてくる可能性が生まれる。実は同選手、身長180cmとそこまで大きいわけではないのだが、ヘディングでのシュートは得意。昨季ヨーロッパリーグGL第2節スタンダール・リエージュ戦で見せた巧みなニアサイドからの一撃に、大きな可能性を感じた人は多いだろう。加えて、続くGL第3節のヴィトーリア・ギマランイス戦でも、同選手はフワリと浮いたクロスに頭で合わせて得点を奪っている。なお、昨季出場したEL7試合では空中戦勝率50%(14回中7回勝利)を記録。身長180cmの選手としては悪くない数字と言えるだろう。

現状、空中戦に強いセンターフォワードがいない中で、マルティネッリがアーセナルの救世主となる可能性は決して低くないか。昨季、ミケル・アルテタ監督も彼の起用方針について「センターフォワードとして考えている」とすでに明言している。これまでは中央に合わせる選手がいないなかで、ただクロスを放り込むしかなかったアーセナル。しかし、マルティネッリの復帰によって、そんな状況には変化が生じることとなるかもしれない。

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